ついに発表された「新型ハリアー」。ハリアーは都市型SUVの先駆車であり、これまで3代にわたって、クロスオーバーSUVのブームを牽引してきました。
ここで、歴代ハリアーの特徴と功績を簡単に振り返ってみましょう。
■歴代ハリアーはどういったSUVだったのか?
バブル経済が破綻し、スポーツカーや高級セダンなどが売れなくなり、ミニバンやSUVへと需要が変化し始めた1997年に初代デビューとなった、ハリアー。
当時SUV といえば、パジェロのような無骨でゴツゴツした「クロカン」のイメージが強かった中で、ハリアーは「高級サルーンの乗り心地と快適性を兼ね備えたラグジュアリーなクロスオーバーSUV」という斬新なコンセプトをもち、流麗なエクステリアと質感の高いインテリアで登場。
高級車のようなゆったりとした乗り心地で、多くのファンを魅了しました。その人気は日本にとどまらず、北米でも「レクサスRX」として熱狂的に受け入れられました。
2003年に登場した2代目ハリアーは、より大きなマーケットである北米のユーザーを意識し、ボディサイズがひと回り大きくなりました。
初代のコンセプトをさらに昇華させたデザインで登場した2代目は、2005年にはハイブリットモデルも追加され、初代同様に人気車となりました。初代ハリアーの大ヒットを見ていた海外メーカーが、高級SUVが続々と登場させ始めたのも、このころです。
2013年に3代目が登場。このモデルからレクサスRXとのモデル共用をやめ、国内専売モデルとなりました。日本の道路事情に合わせて2代目ハリアーに対してボディサイズがサイズダウンされましたが、歴代ハリアーの伝統であるデザインや乗り心地の良さは受け継がれました。
また、ボディが軽量化されパワートレインもダウンサイジング&新設計されたことで、燃費性能が大きく向上。こうして、ハリアーは3代目も人気を得ることに成功したのです。
そして2020年の6月、いよいよ4代目の新型ハリアーが登場です。
海外市場からの需要で大型化が望まれていたRXと決別し国内向けにサイズ縮小したことは、ハリアーが国内市場で生き残れた理由のひとつ。クルマは肥大化すれば万事良いわけでは全くないのです。
新型ハリアーのボディサイズは、全幅1855mm・全長4740mmと抑えられており、安心できる大きさです。
外見こそ違いますが、あのRAV4と血が繋がっており、新型ハリアーにはRAV4で評価の非常に高かったTNGAプラットフォーム(GA-K)が採用されています。
これにより、ボディの高剛性化や低重心化など、SUVとしての走りや快適性といったポテンシャルは、3代目に比べて大きく向上するでしょう。
コンセプトの近い競合車はレクサスRXやNX、マツダのCX-30やCX-8だが、価格やボディサイズも含め、ガチンコライバルとなるクルマは見当たりません。
ワイルドなSUVのRAV4と、都会派SUVの新型ハリアー、この2トップで国内ミドルクラスSUVをけん引する可能性もあります。
新型ハリアーは間違いなく「国内ラグジュアリーSUVのベンチマーク」となるでしょう。
(文:自動車ジャーナリスト:吉川賢一 写真:TOYOYA)