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■新型コロナ影響下でも普及が進む電気自動車を知る
世界中で新型コロナウイルスの猛威が吹き荒れる中、国内外の新車販売台数が大きく減少しているというニュースが連日報道されています。
ところが電気自動車に関しては、たとえば欧州では新車販売台数は増加しているようです。世界的な調査会社JATOの発表によると、電気自動車新車の2020年3月における新車販売台数は14万7500台で、前年同月比で10.1%増加、マーケットシェアも過去最大の17.4%となっています。
「EVシフト」という言葉が生まれるほど世界的に普及が進む電気自動車ですが、実は様々なタイプがあります。
電気自動車には、EVやHV、PHEVやFCVなど、最近よく耳にするワードも多いのですが、それぞれどんな違いや特徴があるのでしょうか? 分かりやすくご紹介します。
●電気自動車には主に4タイプある
最新のエコカーともいえる電気自動車には、大きく分けて次の4タイプがあります。
・HV(Hybrid Vehicle):ハイブリッド車
・PHEVまたはPHV(Plug-in Hybrid Vehicle):プラグイン・ハイブリッド車
・EV(Electric Vehicle):電気自動車
・FCV(Fuel Cell Vehicle):燃料電池車
いずれも地球温暖化対策として、従来のガソリンエンジン車では削減が難しいCO2などの排出ガスを抑制する、もしくは完全にゼロにするクルマとして普及が期待されているのはご存じの通りです。
欧州では自動車メーカーに対し、総販売台数の平均燃費が一定割合に達しない場合に、高額な罰金を課する規制を実施。
アメリカのカリフォルニア州や中国でも同様の規制が行われているため、自動車メーカーはガソリン消費量が低い、またはゼロになるエコカーを販売しなければならないといった事情が、電気自動車が増えている背景にあります。
●HVにはさらに3タイプある
近年、新車のラインアップに設定が増えてきたHV=ハイブリッド車。これはモーターとエンジンを組み合わせたクルマです。代表的なモデルには、トヨタのプリウスなどがあります。
実はこのハイブリッドにも、大きく分けて3タイプが存在するのです。
プリウスなど一般的なハイブリッド車は、低速走行時などはモーターだけで走るEV走行を行い、速度がある程度出るとエンジンで走る仕組みです。また、エンジン始動中でもバッテリーに十分な電力があれば、走行状況に応じてモーターだけで走ることも可能です。
このように、エンジンとモーターの両方で走る仕組みを「パラレル式」といいます。エンジンで走る区間を短くすることで、燃費向上を図ります。
一方、日産のノートやセレナに設定されているe-POWERは、走行はモーターのみで行い、エンジンはモーターを動かす電力の発電のみを行うタイプのハイブリッドで、これは「シリーズ式」と呼ばれています。
エンジンがバッテリーの発電だけに使われるため、やはり通常のガソリン車よりも燃費は向上します。
さらに、最近増えて来ているのは「マイルドハイブリッド」という方式。
これは走行はエンジンだけを使い、モーターは発進などの加速時にエンジンの駆動力をアシストしたり、アイドリングストップからエンジンを再始動する際に使用するタイプ。加速やエンジン始動時などにガソリン消費量を抑えることで、燃費の向上を実現します。
スズキのスイフトやワゴンR、マツダのマツダ3 SKYACTIV-X搭載車、日産のセレナ(スマートシンプルハイブリッド)などに採用されています。
●PHEVはバッテリー充電が可能
PHEV=プラグイン・ハイブリッド車は、わかりやすく説明すると「外部電源から充電が可能な(シリーズ式)ハイブリッド車」といえます。メーカーによって、PHEVとPHVという表記がありますが、いずれもプラグイン・ハイブリッド車です。
こちらもエンジンとモーターの両方で走るのはプリウスなどと同様ですが、バッテリーの容量が大きく、自宅などでも充電が可能ですので、モーターだけで走れる距離がより長くなります。
ホンダのクラリティPHEVでは、市街地や郊外・高速道路で計測したWLTCモードでEV走行の距離が101kmを実現。これは国産PHEVの中でトップレベルのEV航続距離にあります。
ほかにもトヨタのプリウスPHVや三菱のアウトランダーPHEVなどがあります。