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●モーターだけで走るのがEV
EVは100%電動モーターだけで走る電気自動車です。最近ではハイブリッド車などと区別するために「BEV(Battery Electric Vehicle)」という言葉も使われています。
エンジンがないため、当然ながらガソリン消費量はゼロ。エコという意味では、最強です。エンジン車に比べて加速がスムーズで、ある車速までに到達する時間が短いなどの特徴があります。
ただしほかの電気自動車やガソリン車と比べると航続距離が短いという欠点があります。約10年前の電気自動車は満充電時で100km程度といった感じでした。
それでも近年は、日産リーフが大きな62kWhバッテリーを搭載するリーフe+で、WLTCモード458kmという航続距離を実現しています。
ほかにも、出先では充電スタンドなどがないと充電できない、充電時間が長い(リーフe+の場合、急速充電で約60分)といった問題はありますが、航続距離が伸びたことで実用性はかなり向上しているといえます。
100%モーターで走る電気自動車には、アメリカのテスラ(モデルSやモデルXなど)が有名ですが、国産車では前述のリーフ、三菱のi-MiEVなどがあるほか、ホンダeやレクサスUX300eなどが近々発売される予定。
また、欧州車でもここ数年、アウディのe-tronやフォルクスワーゲンのe-UP!、ミニ・エレクトリックなどの新型車が目白押しで、世界的に増加傾向にあります。
●水素と酸素を電気に変えるFCV
FCV=燃料電池車はまだあまり認知度も普及度もありませんが、エンジンを使わない電気自動車の一種です。トヨタのミライや、ホンダのクラリティFCVなどがあります。
前述のEVと違う点は、クルマの中で発電することです。FCVの燃料は液体水素で、水素と酸素の化学反応で電気を作る「燃料電池」を搭載し、モーターで走るという仕組みを採用しています。
EV同様にガソリンを一切使わないため、CO2排出量はゼロ。また、発電自体をクルマが行うため、航続距離もEVより長くできるというメリットがあります。
ただしネックは燃料である水素を供給する水素ステーションの普及度がまだ低いことです。EV向けの充電ステーションは、高速道路のサービスエリアやショッピングセンターなどでかなり目にする機会も増えてきましたが、水素ステーションはまだまだレア。
また、発電システムの搭載が必要になるなどで、車両価格が比較的高い傾向にある(ミライは税込価格で740万9600円)という問題もあり、なかなか普及していないのが現状です。
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スズキ、テスラ、アウディジャパン)