セカンドカーなら純ガソリン車で十分、アクティブに乗るならハイブリッド車を!(佐藤久実)【ホンダ・フィット試乗】

■デザインから走りまで新型フィットは「心地よさ」を徹底追求

●細部に至るまで使い勝手や質感へのこだわりが見られる

ホンダ・フィットがフルモデルチェンジ、4代目が登場しました。新型では、その開発において、デザインから走り、機能に至るまで、「心地よさ」を追求したとのこと。
エクステリアデザインは、シンプルで親しみが感じられ、ユニーク。先代はかなりエッジの効いたデザインでしたがそれを継承するものではなく、最新のホンダのデザイン・アイデンティティに基づくものです。むしろ、コンセプトとしては初代に近く、原点回帰を図っています。また、ドアハンドルのグリップやドアの開閉音など、ディテールに至るまで使い勝手や質感へのこだわりが見られます。

ホンダ・フィット NESSのフロントビュー
ホンダ・フィット NESSのフロントビュー
ホンダ初代フィット
ホンダ初代フィット

●NESSは見た目だけでなく機能もアクティブ!

1台目の試乗車、シャイニンググレー・メタリックにヴィヴィッドなライムグリーンのアクセントが効いたボディカラーは「NESS」というタイプのみに用意される2トーン。NESSって何だ?と思ったら、車名と続けると「FITNESS」って…。何とも洒落の効いた名前ですが、その名の通り、アクティブなライフスタイルの人向け。インテリアも同じくグレーとライムグリーンでコーディネイトされていてオシャレ。アクティブなのは見た目のデザインだけでなく、撥水素材が使われていて機能性も高い。また、普通は樹脂が使われることの多いダッシュやドアトリムなど随所にソフトパッドが使われているのも、好感度大。シートに座るだけで気分が上がります。

ホンダ・フィット NESSのリヤビュー
ホンダ・フィット NESSのリヤビュー
ホンダ・フィット NESSのフロントシート
ホンダ・フィット NESSのフロントシート

●極細ピラーと水平ダッシュボードで視界は広々

さて、運転席に座ってまず印象的なのが、視界の広さ。極細のフロントピラーのおかげでフロントウィンドゥが広々、斜め前方の死角もほぼなく、パノラマ視界が広がります。ちなみに、手前にもう一つピラーがあり、こちらでちゃんと衝突安全性能を確保しています。また、ピラーだけでなく、水平基調のダッシュボードも視界の広さに貢献していて、閉塞感がなく明るいので、室内空間さえも広々と感じます。

ホンダ・フィット NESSのインパネ
ホンダ・フィット NESSのインパネ
ホンダ・フィットの視界比較
新旧フィットの視界比較

新設計のシートは構造から大幅に変えられ、パッドも厚みがあって、ロングドライブでも疲れない快適性を狙ったもの。リヤシートの広さ、座り心地も快適です。

ホンダ・フィット NESSのリヤシート
ホンダ・フィット NESSのリヤシート

●1.3リットル車は静かだが、もう少しトルクが欲しい

さて、こちらはガソリンエンジン車で、直列4気筒1.3リットルエンジンを搭載し、CVTが組み合わされます。一般道を50Km/h前後で走っていると、まずは室内の静粛性の高さに驚きます。「あれ、これハイブリッドモデルだっけ?」と思わず確認してしまったほど。高速道路の巡行も問題なし。でも、加速時やワインディングの登りだとさすがにちょっとトルクのなさを感じ、エンジンも高回転域をキープするため、やや耳障りな音が室内に入ってきます。一方、下りでは、加速していないとあえて高回転を維持してエンジンブレーキを効かせる制御になっています。

ホンダ・フィット NESSの走り
ホンダ・フィット NESSの走り

●スポーティではないが素直。肩の力を抜いて走れる

乗り心地は、サスペンションのストローク感があって、路面のアンジュレーションをいなすように走り、タイヤの当たりが優しくマイルド。その分、多少ボディの動きは大きいけれど、路面からの入力の後の収束も早いので気になるものではありません。コーナーでも同様に、ロールは大きいけれど、4輪は常にしっかり路面を捉えていて安定感もあり、素直なハンドリングです。全体的に、スポーティな性格ではないけれど、やはり「心地よさ」が感じられます。スポーツカーの場合、『非日常』を味わう楽しみがありますが、新型フィットは、どんなシチュエーションでも日常を過ごしているような安心感があって、肩の力を抜いて走れるクルマです。

ホンダ・フィット NESSのホイール
ホンダ・フィット NESSは16インチアルミホイールを標準装備

●LUXEは大人の雰囲気。本革シートを採用

そして、2台目の試乗車はハイブリッドモデルのe:HEVの「LUXE」。デザインはすべて同じだけど、LUXEは洗練と上質がキーワードのスタイリッシュなタイプ。ボディカラーも落ち着いたトーンのラインナップが多く、2トーンはありません。インテリアも、質感や手触りの良いマテリアルを用いた大人な空間。カラーやマテリアルで、ずいぶんクルマの印象って変わるものですね。特にインテリアは、運転している間、ずっと目に触れ、手が触れるもので、趣味や好み、価値観によって、居心地の良さって違いますよね。

ホンダ・フィット e:HEV LUXEのフロントビュー
ホンダ・フィット e:HEV LUXEのフロントビュー
ホンダ・フィット e:HEV LUXEのインパネ
ホンダ・フィット e:HEV LUXEのインパネ

●新型フィットは5つのバリエーションを用意

新型フィットは、「BASIC」「HOME」「NESS」「CROSSTAR」 「LUXE」の5つの豊富なタイプバリエーションが用意されています。ライフスタイルに応じて選ぶから、『グレード』ではなく『タイプ』。さらに各タイプごとにカラーやマテリアルのチョイスが用意されているので、きっと「心地よい」お気に入りの1台が見つかるはず。

ホンダ・フィット e:HEV BASIC
ホンダ・フィット e:HEV BASIC
ホンダ・フィット e:HEV HOME
ホンダ・フィット e:HEV HOME
ホンダ・フィット e:HEV NESS
ホンダ・フィット e:HEV NESS
ホンダ・フィット e:HEV CROSSTAR
ホンダ・フィット e:HEV CROSSTAR
ホンダ・フィット e:HEV LUXE
ホンダ・フィット e:HEV LUXE

●ハイブリッドはよりEVに近い走りに変身

さて、e:HEVに話を戻しましょう。こちらに搭載されるのは2モーターハイブリッド。従来から上位モデルには使われていますが、システムを大幅に小型化することで、今回、フィットに初めて搭載されました。さらに、モーターも高性能化され、従来の1.6倍のトルクが発生されるのが特徴です。基本的にはエンジンは発電のみで、モーター駆動がメイン。必要に応じてエンジンでも駆動しますが、よりEVに近い走りなので、静粛性はエンジン車よりさらに高く、街乗りだとほぼエンジンがかからないのでとっても静かです。

ホンダ・フィット e:HEV LUXEの走り
ホンダ・フィット e:HEV LUXEの走り

一方、EVっぽいとはいえ、ワンペダルドライブができるようなチューニングにはなっていません。フィットは「いろんな人が、日常、普通に乗れるクルマ」を目指したため。実際、ガソリン車から乗り換えてもアクセル操作と加速感など何の違和感もなく、素直なドライバビリティです。もちろん、全域シームレスでスムース、そして発進から力強いパワートレーンは、ハイブリッドならではの「心地よさ」ですが。

ホンダ・フィット e:HEV LUXEの走り
ホンダ・フィット e:HEV LUXEの走り

ガソリンとe:HEV、2つのパワートレーンがラインナップされますが、動力性能はe:HEVの方が断然高出力&大トルク。近所の買い物程度やセカンドカーであればガソリン車で十分だけど、使用頻度が高かったり、アクティブに動く人にはe:HEVがオススメです。

「ホンダ フィット e:HEV LUXE」諸元表
全長×全幅×全高:3995×1695×1540mm
ホイールベース:2530mm
車両重量:1200kg
エンジン
・種類:直列4気筒
・総排気量:1496cc
・最高出力:98ps(72kW)/5600-6400rpm
・最大トルク:127Nm(13.0kgm)/3500-8000rpm
モーター
・最高出力:109ps(80kW)
・最大トルク:127Nm(13.0kgm)
駆動用バッテリー
・容量:-Ah
駆動方式:FF
トランスミッション:電気式無段変速機
燃費:27.4km/L(WLTCモード)
価格:245万9600円

「ホンダ フィット NESS」諸元表
全長×全幅×全高:3995×1695×1540mm
ホイールベース:2530mm
車両重量:1090kg
エンジン
・種類:直列4気筒
・総排気量:1317cc
・最高出力:98ps(72kW)/6000rpm
・最大トルク:118Nm(12.0kgm)/5000rpm
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT
燃費:19.6km/L(WLTCモード)
価格:196万5700円

佐藤久実
佐藤久実さん

佐藤久実:モータージャーナリスト。全日本GT選手権やスーパー耐久、ニュルブルクリンク24時間レースなど国内外のレースに参戦経験を持つレーシングドライバーとして、そして女性ドライバーとしてと、様々な観点からクルマを批評する。

(写真:奥隅圭之、文:佐藤久実)