清水和夫がズバリ! ヤリス&フィットは日本自動車産業の強み【頑固一徹 和】

■清水和夫がヤリス&フィットのハイブリッド仕様を比較!

●ヤリスは走る楽しさ、フィットは走る快適性

2020年、話題のBセグメント「ホンダ・フィット」と「トヨタ・ヤリス」。ともにガチのライバルですが、コンセプトやテイストはある意味真逆ともいえる位置付けです。

ラグジュアリーなフィットと、快適性を保ちながらもスポーティなヤリス、そのハイブリッド仕様のFWDモデルを国際モータージャーナリスト・清水和夫さんこと『頑固一徹 和』が乗り較べてみました。

ヤリスとフィット
ヤリスとフィット、この2台のハイブリッド仕様を比較してみましょう!

●見た目だけでも両車のコンセプトの違いが分かります!

ここにある2台のコンパクトカーは、日本を代表する世界に向けての小さな洗練された新型車「ホンダ・フィット」と「トヨタ・ヤリス」です。

ヤリスとフィット
実は!なハナシ満載でお届けいたします!

元々トヨタは国内向け=ヴィッツ、ヨーロッパ向け=ヤリスと、名前を変えていたんです。ヨーロッパのBセグメントはかなり競争力が激しいので、ただ安いだけではダメで非常にしっかり作らなくてはならなかったヤリスでしたが、国内向けは低速域、日本には速度無制限のアウトバーンのようなところはないので、ちょっと低めの速度域をメインに少し安く作っていたのがヴィッツだったのです。

が、トヨタは「日本・ヨーロッパ・アメリカ、世界と戦えるBセグを!」ということで名前をヤリスに変えました。

一方、新興国向けのBセグはダイハツに任せてDNGAプラットフォームでやっています。トヨタのTNGA、ダイハツのDNGAと、ふたつのBセグがこれから出てくるかもしれません。

フィットのエンジン
フィット・ハイブリッドのエンジン。

フィットとヤリス、本当に日本を代表するフォワードの2トップと言っていいと思います。両車とも特徴的なのは、モーターをふたつ持ったストロングハイブリッド。トヨタは元々、アクアなどにあったTHSというストロングハイブリッドを量産・市販していましたけど、このひとつ下のクラスまで採用しました。

ヤリス・ハイブリッドのエンジン
ヤリス・ハイブリッドのエンジン。

ホンダはひとつ前のフィット・1モーターDCT、これが発表になるやリコールの嵐!で、当時の社長は頭を抱えていました。そのトラウマがあって今回、そのDCTは止めて、アコード、シビック系に使っていたストロングハイブリッドをこのフィットクラスにまで持ち込みました。

この小さなエンジンコンバートメントに2モーターを入れるのは並大抵の努力ではなかったと思います。まぁトヨタは最初から想定して設計していたと思いますけど。

今回のフィット、プラットフォームは前のセンタータンクのボディを持っていますけど、パワートレインが大きく変わったということと、衝突安全に効くAピラーがちょっと後ろにずれました。

フィットのAピラー
手前の太いほうがAピラーの役目をしています。

三角窓の前方がAピラーに見えますけど、これはガラスを支持するだけのダミーAピラー。荷重を受けるのは。手前の太いほうで視界を確保しました。昔よりドアミラーが大きくなったために視界が悪かったのが安全運転上問題だと思っていました。が今回、ドアミラーより前に大きな三角窓をもってきたのは凄いことです。

ヤリスのコクピット
ヤリスのコクピットからの視界。
フィットのコクピット
三角窓のおかげで、フィットのコクピットからの視界はこんなに広いのです。

フィットに乗ってみてヤリスとの違いは、パノラマ的な視界の良さ。右左折、特に左折の時の歩行者や自転車に対しての視認性がすごくいいと思います。第一印象的には運転のしやすさ、カーナビも必要以上の大きさではないので、インテリアを含めて人に優しい、というイメージです。

ヤリスは従来通りのインパネ、よりヨーロッパの強豪と戦えるだけのダイナミックな性能にかなり力を入れて開発されている印象です。

ヤリスとフィット
ヤリスはムキムキしたスポーティさがありますね。

この2台の顔つきですけど、ヤリスはかなりスポーティさを意識しているので、オーバーフェンダーでタイヤがムキムキみたいな、スポーツカーみたいなデザイン。

フィットはタイヤまわりのボディのエクセレントデザインはあっさり。

このあたりも両車の走りに対する考え方の違いが感じられるかなと思います。

ヤリスは走る楽しさ、フィットは走る快適性。今回の2台は似て非なるものです。レンタカーを借りるなら両方乗ってみて!

ヤリスとフィット
ヤリスとフィット、清水和夫がズバッと解説!

フォルクスワーゲンが来ようが、プジョー、シトロエン、BMW、アウディが来ようが全く負けないぞ!という2台のコンパクトカーが日本から登場しました。このことが日本の自動車産業の強みだと思います。

評価
ヤリスとフィット、ハイブリッド仕様の評価!

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その他、フィットのブレーキ「実は!」なハナシ、清水和夫さんが参戦している全日本ラリー・ヴィッツCVT→2020年からヤリスCVTのブレーキの話、生産工場の話、試乗インプレッション、4WD仕様の話…etc.は動画をチェック!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの)

【ホンダ フィット e:HEV LUXE】

ボディサイズ:全長3995mm×全幅1695mm×全高1540mm
ホイールベース:2530mm
トレッド 前/後:1485mm/1475mm
車両重量:1230kg
エンジン:直列4気筒DOHC
エンジン排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0×89.4mm
最高出力:72kW(98ps)/5600〜6400rpm
最大トルク:127Nm(13.0kgm)/4500〜5000rpm
モーター最高出力:80kw(109ps)/3500〜8000rpm
モーター最大トルク:253Nm(25.8kgm)/0〜3000rpm
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:前輪駆動
サスペンション:フロント マクファーソン式/リア 車軸式
ブレーキ:フロント ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:フロント&リア 185/55R16 83V
燃料消費率 WLTCモード:27.4km/ℓ JC08モード:35.0km/L
車両本体価格(税込):2,327,600円

【トヨタ ヤリス ハイブリッド Z】

ボディサイズ:全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm
ホイールベース:2550mm
トレッド 前後:1480mm/1475mm
車両重量:1090kg
エンジン:直列3気筒DOHC
エンジン排気量:1490cc
ボア×ストローク:80.5×97.6mm
最高出力:67kW(91ps)/5500rpm
最大トルク:120Nm(12.2kgm)/3800〜4800rpm
フロントモーター
最高出力:59kw(80ps)最大トルク:141Nm(14.4kgm)
リアモーター
最高出力:3.9kw(5.3ps)最大トルク:52Nm(5.3kgm)
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:前輪駆動
サスペンション:フロント マクファーソンストラット式/リア トーションビーム式
ブレーキ:フロント ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:フロント&リア 185/55R16
燃料消費率 WLTCモード:35.4km/L
車両本体価格(税込):2,295,000円

【清水 和夫 プロフィール】

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業

清水和夫さん
皆さん! Stay Homeですよ!! 新型コロナウイルスで好きなゴルフもなかなか行けず(泣)。

1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。

【頑固一徹試乗とは?】
国際モータージャーナリスト、清水和夫が斬る試乗インプレッション『頑固一徹テスト』。頑固一徹・清水和夫が独自の目線でチョイスした新型モデルを、パワートレイン、シャシー性能、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI)の3分野で評価、採点し、その合計点によって10段階で評定します。

■頑固一徹 総合評価指数
3〜6点→★
7〜12 点→★★
13〜18点→★★★
19〜24点→★★★★
25〜30点→★★★★★

■頑固一徹テスト 試乗インプレッション
評価軸(3項目)&評価ポイント
パワートレイン 10段階評価(1〜10点)
シャシー性能  10段階評価(1〜10点)
ヒューマンマシンインターフェイス  10段階評価(1〜10点)

【関連リンク】

StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net

国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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