履きっぱなしは禁物。タイヤの寿命はここで分かる!【誰でもできるカーメンテ】

■スリップサイン、プラットフォーム、ひび割れ。寿命を知らせるサインを知ろう

タイヤは、クルマの動力を路面に伝え、走る、曲がる、止まる、のクルマの基本性能を司る重要なパーツです。寿命を迎えたタイヤでは、安全な走行ができなくなるばかりでなく、法令違反に問われる場合もあります。今回は、タイヤの寿命について解説していきます。

●タイヤの寿命チェックの基本、スリップサイン

タイヤの寿命を見る上で、最もわかりやすいのが「スリップサイン」です。タイヤの残り溝を教えてくれる、重要な点検項目です。タイヤの側面には、様々な文字や記号が並んでいます。その中に、タイヤの外よりに小さな矢印を確認することができるはずです。これがタイヤのトレッド面にあるスリップサインがある箇所を表しています。合計で6か所矢印があります。

スリップサイン
タイヤの外側にある小さな三角形がスリップサインの矢印です。

矢印の向いている方向の、タイヤのトレッド面を見ていくと、溝の中に盛り上がった箇所があります。これがタイヤに示されたスリップサインです。タイヤが路面に接している面には大小さまざまな溝が彫られており、その中の大きな溝それぞれにスリップサインが埋め込まれています。

スリップサイン2
タイヤの主要な溝に3カ所あるスリップサインは、一つでも露出していると、そのタイヤは使用できません。

スリップサインは、残り溝の深さが1.6㎜を示す目安となっており、残り溝1.6㎜というのが道路運送車両法の保安基準に定められたタイヤの使用限度になっています。残り溝が1.6㎜以下のタイヤで走行を続けると、クルマの安全な走行を妨げることに加えて、整備不良(制動装置等)に該当し、交通反則行為となります。違反点数2点、反則金は普通車で9,000円の立派な交通違反です。違法なクルマでの走行をしないように、タイヤの残り溝チェックは定期的に行う必要のある日常点検です。

また、タイヤは残り溝1.6㎜まで使えるものの、新品状態から溝が減るにしたがって、タイヤの性能はどんどんとダウンしていきます。タイヤの溝は新品状態で約8㎜ありますが、半分の4㎜以下になると、性能は急激に落ちていき、制動距離が長くなったり、雨の日にハイドロプレーニング現象が起きやすくなるなど危険が伴います。遅くとも、残り溝が2㎜程度になってきたら、タイヤは交換時期であると認識をする必要があります。

●見落としがちなひび割れ、偏摩耗

走行距離が少ないと、タイヤの溝の減りは抑えられ、長い間タイヤを使用することができますが、溝が少なくなっていなくても交換のサインが出ていることがあります。

タイヤの側面の商品名やブランド名が書かれている個所を良く見ると、細かなヒビが入っていることがあります。4年~5年以上同じタイヤを使い続けると出てくることが多いヒビも、タイヤの寿命を知らせるサインです。

ゴム製品であるタイヤは、紫外線や雨などにさらされて、劣化していきます。ゴムが劣化すると硬くなっていき、柔らかさを失ったタイヤにヒビが入っていくのです。ヒビが入った状態で走行を続けると、突然のパンクやバーストを引き起こす確率が高くなり、大きな事故にもつながりかねません。タイヤの側面には、数字が4つ書かれており、タイヤの製造年と週数がわかるようになっています。例えば2417と書かれていれば、2017年の24週(6月)に製造されたタイヤということです。製造から4年以上経っているタイヤを使っている場合には、ひび割れの状況やタイヤの硬度を確認し、交換の時期が迫っているという認識をしましょう。

●スタッドレスタイヤのプラットフォーム

雪道で大活躍するスタッドレスタイヤには、夏タイヤのスリップサインに似たサインがあります。これがプラットフォームです。タイヤの側面の内よりの部分に矢印があり、プラットフォームの位置を示しています。側面に4か所矢印があります。

プラットフォーム
スタッドレスタイヤタイヤだけにあるプラットフォーム、ホイールに近い側の矢印です。

これは、スタッドレスタイヤとしての寿命を表すもので、スタッドレスタイヤの溝が半分になったことを示しています。プラットフォームが露出したスタッドレスタイヤは、冬用タイヤとして使用することができません。冬タイヤ規制のかかっている道路を、このような状態のスタッドレスタイヤで走ると法令違反となります。

プラットフォーム2
スタッドレスタイヤの寿命を知らせるプラットフォームは、残り溝が半分になると露出します。

スタッドレスタイヤには、プラットフォームとスリップサインが両方あり、プラットフォームが露出していても、スリップサインが出ていなければ、夏タイヤとしての使用は可能です。2つのサインがあるスタッドレスタイヤでは、どちらがどういう意味を持っているのかを理解し、点検することが大切です。

●まとめ

タイヤの寿命は様々な箇所で判断することが重要です。残り溝とタイヤ表面の状態をしっかりとチェックして、タイヤの寿命を的確に判断し、安全なドライブをしていきましょう。

(文:写真 佐々木亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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