■SUVの定石どおりのパッケージング
T-Crossが広く感じられるのは、全高を高めてアップライトな姿勢で座らせるという、定石どおりのパッケージングを実現しているため。後席フットスペースの広さはもちろん、視界の良さ、開放感のある室内は、SUVの利点であることが感じられます。加えて、後席は140mmの前後スライドが可能。
ただし、後席は左右一体式でスライドするため、座ったままスライドさせるには結構力が必要です。決してロングスライドとはいえないものの、荷物が多い時などに重宝します。身長171cmの筆者が運転姿勢を決めてその後ろに座ると、最も後席を前にした状態では膝が背もたれ裏に触れますが、スライドを最後端にすると膝前にこぶし2つくらいの余裕が残ります。
また、前席座面下に足がすっぽり入るため、足を伸ばせるのも美点。なお、頭上にはこぶし1つと手の平1枚のほどのクリアランスが残ります。
荷室は、先述したようにスライド位置により奥行きが変わります。140mmのスライドなので一番前に出すと奥行きはかなり拡大します。また、余裕のある荷室高もSUV化のメリットで、後席背もたれは「60:40」の分割可倒式(スライドは一体式)です。
なお、荷室容量は通常時で、後席スライドを最後端にすると385L、通常時で後席スライドを最も前にすると、455Lまで拡大します。さらに、後席背もたれを両方とも前倒しした最大時で1281Lまで拡大。ほかにも、ラゲッジのフロアボードは上下2段に設置可能で、上段にすれば荷室開口部との段差が少なくなり、下段にすれば荷室高を稼ぐことができます。
ベースのポロ同様に、全幅は3ナンバーサイズ化されていますが、大型化が進むSUVの中にあって取り回ししやすいサイズといえるフォルクスワーゲンT-Cross。「ポロ+アルファの余裕」が日常からオフタイムまで豊かなカーライフに貢献してくれるのは間違いないでしょう。
(文/写真 塚田勝弘)