Qシリーズのトップにふさわしい堂々たるフォルムと、ターボ+48Vによる力感あふれる走りが魅力【アウディQ8 試乗】

■全長はQ7よりも短くてもアウディSUVのトップモデル

アウディQ8は、簡単にいうとQ7にクーペ風テイストが付加されたクロスオーバーSUV。アウディQ7と同様に「MLB evo」と呼ばれるプラットフォームを使って仕立てられたQ8は、Q7よりも全長が75mm短く、全幅は25mmワイドで、全高は30mm低くなっています。

アウディ Q8
アウディQ8のフロントビュー

Q2、Q3、Q5、Q7、Q8と数字が大きい方がボディサイズが大きくなるはずですが、全幅はワイドであるものの、全長はQ8の方が短くなっています。

それでも、迫力あるフロントグリル、サッシュレスドアのスマートなサイドビュー、アウディ クワトロへのオマージュだという大きなブリスターフェンダーやリヤピラーなど、フラッグシップにふさわしいフォルム、ディテールが与えられています。さらに、ワイド&ローになったことで、全長の短さを感じさせない存在感も魅力。

アウディ Q8
アウディQ8のリヤビュー

試乗車は、「Q8 55 TFSI quattro debut package S Line」に、「comfort assistance package」が加わった豪華仕様で、安全装備も網羅されています。「S Line」パッケージには、専用の内・外装に加えて、アダプティブエアサスペンションスポーツも備わり、価格は1204万円。

クーペテイストが付加されているとはいえ、高めの運転席に落ち着くと、SUVらしい高いアイポイントと、見晴らしの良さが得られます。また、後席も頭上まわりには十分な余裕があり、足元も広く、身長180cmくらいの方が4人座っても余裕十分であるはず。なお、荷室は通常時でも奥行きは長く、通常時は605L、最大時は1755Lまで容量が拡大します。

アウディ Q8
アウディQ8のインパネ

「DCB」型の3.0L V6エンジンは、340PS/5200-6400rpm・500Nm/1370-4500rpmというアウトプットで、トランスミッションは8速ティプトロニック(AT)。試乗ステージの箱根ターンパイクで走らせると、2210kgという重量級ボディを軽々と加速させるトルク感、長々と続く登り勾配を物ともしないハイパワーは、勾配の存在を感じさせないほどのど迫力。

アウディ Q8
アウディQ8の走り

Q7は低負荷域から過給するスーパーチャージャーでしたが、Q8にはターボが組み合わされています。アクセルの踏み具合が大きくなる山道では、ターボラグを若干感じさせるものの、分厚いトルクで押し出すように速度を乗せ、さらにターボで加勢する走りは迫力十分。

アウディQ8
アウディQ8の3.0L V6エンジン

さらに、欧州車でお馴染みになりつつある48Vマイルドハイブリッドによるモーターアシストもありますから、ターボラグをそれほど感じさせない仕上がりになっています。48Vシステムにより、55-160km/hの間でコースティングが可能で、エンジンを止めて走ることも可能で省燃費に貢献。さらに、22km/h以下ではスタート/ストップ機能も作動します。

アウディ Q8
アウディQ8のタイヤ&ホイール。試乗車は、コンチネンタルの「スポーツコンタクト6」を装着

試乗車のタイヤサイズは、285/40R22という大径にも関わらず、引き締まった中にも乗り心地は落ち着きがあり、ソフトとはいえませんが、ハードではなく、エアサスペンションらしいフラットライド感を堪能できます。

ハンドリングはアウディらしい精緻で信頼できるもので、電動パワーステアリングの味付けもほとんど違和感を抱かせません。箱根ターンパイクでは、それなりにロールを許すものの、急にグラリと揺れるようなことはなく、大きさを感じさせない身のこなしも美点。

アウディQ8
Q8のリアシート。クーペテイストでも頭上には余裕がある
アウディ Q8
試乗車の前席はスポーツシート

アウディらしい質感の高いインテリアや、スタイリッシュでありながらワイド&ローのスタンスの良さが伝わってくるアウディQ8。ロングドライブやワインディングなど、シーンを問わず運転を楽しみたい人にピッタリきそうな大型SUVになっています。

アウディ Q8
アウディQ8のラゲッジ

(文/塚田勝弘 写真/中野幸次、塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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