ダイハツ初のGRモデルは乗り心地もハンドリングも二重丸【コペンGRスポーツ試乗】

●軽自動車っぽくない、長距離移動が楽しくなりそうなコペンGRスポーツ

東京モーターショーのダイハツブースに展示され、コクピットチェックをしたい人達の行列が絶えなかったコペンGRスポーツに試乗しました。

コペンGRスポーツ 走り
ランプ類はブラックアウト。一体感のあるデザインとしている。グリルデザインはGRシリーズに共通のファンクショナルマトリックス

コペンGRスポーツはダイハツ初のGRモデル。エクステリア&インテリアはGRスポーツ専用のものが装着されスポーティさが増しています。エクステリアからはダイハツを示すエンブレム類はすべて排除されました。

これには大きな理由があります。じつはコペンGRスポーツの販売はダイハツディーラーだけではなく、トヨタの全ディーラーおよびGRガレージでも行われるのです。

例外を除き、ダイハツブランドのクルマがトヨタディーラーで正式に販売されるのは初めてのこととなります。

コペンGRスポーツ リヤ7/3スタイリング
リヤコンビランプもブラック化、左右をブラックのガーニッシュで連結している
コペンGRスポーツ BBSホイール
タイヤサイズはスタンダードと同様ながら、ホイールはBBSの鍛造タイプに変更されている
コペンGRスポーツ 補強
ボディの補強は下まわりを中心に行っている

今回の試乗は、まず大磯ロングビーチの駐車場を使っての定地比較テストから始まりました。最初にコペン・ローブ、次にコペン・ローブS、そしてコペンGRスポーツの順に、30km/hでの段差通過、50km/hでのスラローム、70km/hでのダブルレーンチェンジを試します。

安定感も乗り心地もコペンGRスポーツがもっとも優れていました。GRスポーツでは、段差通過時にクルマに入ってきた入力が一瞬にして消えることが特徴的でした。またダブルレーンチェンジではローブはリヤが流れてしまう挙動を示しましたが、GRスポーツはリヤのスタビリティを失うことなく、グリップし続けました。

コペンGRスポーツ 走り1
スッキリした走りが魅力。余分な動きが感じられない

走りのポテンシャルアップ手法は、ボディ下まわりへの補強パーツの追加による剛性アップが基本です。そうして骨格をしっかりさせたうえで、サスペンションのスプリングを柔らかくしています。

ショックアブソーバーはローブはショーワ、ローブSはビルシュタインを使っていましたが、GRスポーツはKYBとなりました。今まで、ボディで受け止められなかった入力をサスペンションで受けていたのをボディで受け止められるようになったのでサスペンションを柔らかくできた……というような考えでいいでしょう。

さらに、ボディの余分な動きを抑制するために前後にパフォーマンスダンパーもオプションで用意されます。

コペンGRスポーツ インパネ
GRのロゴが取り付けられたモモのステアリングを採用
コペンGRスポーツ シート
シートはレカロを奢る。しっかりとしたホールド性が何よりの魅力だ

一般道を試乗した印象は「軽自動車っぽくない、これなら長距離移動が楽しい」というものでした。

コペンはたしかに楽しいクルマで、空いている郊外路を流したり、ワインディングを走ったりすると、その魅力にやられちゃうタイプなのですが、さすがに軽自動車の2シーター、それもオープンカーは長距離にはキツい乗り物です。

ところがコペンGRスポーツは、その長距離でも快適な雰囲気です。今回は実際には走っていないのですが、快適な乗り心地そしてしっかりしたレカロシートのホールド性が長距離移動を助けてくれるだろうと感心しました。欲をいうならステアリングにテレスコピック機構があれば、より正しいドライビングポジションが取れるようになることでしょう。

価格はCVTが238万円、MTが243万5000円です。絶対値はちょっと高めですが、内容を考えるとなかなかの充実度と考えられます。

コペンGRスポーツ走り2

(文・諸星陽一/写真・平野 学)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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