【SUPER GT2019】第4戦のタイでシーズン折返し。Modulo勢2台のSUPER GT、2019シーズン前半を振り返る(PR)

●季節外れの猛暑が生んだ予想外の展開

5月25、26日に鈴鹿サーキットで開催のSUPER GT第3戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 3 SUZUKA GT 300km RACE」。2019シーズンで初めての雨の降らないレースとなりました。開幕の岡山、第2戦の富士500kmと大雨のレースを観てきた者にとっては嬉しい青空の見えるスターティンググリットとなります。しかし気温は30℃、路面温度も42℃という真夏のような暑さは季節外れというほかありません。ModuloのレースクイーンであるModuloプリティも急遽夏のコスチュームでスターティンググリッドに登場します。

GT300クラスの34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は25日午前に行われたフリー走行で「Q1通過も危ない」と道上龍選手も言うように全くセッティングが決まらない様子。しかし、その後の予選に向けてのセッティングの煮詰めで何かが劇的に変化!道上選手は「予選Q1ではフリー走行に比べて2秒も速くなったんですよ。その日に2秒も速くなるなんてあり得ないから乗ってる方も驚いています」と語ります。Q1を担当した大津弘樹選手は「とにかく乗りやすくなっていました」と語ります。

その乗りやすさのおかげでGT300クラスの34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は今季最上位の予選7番手から決勝レースをスタート。スタートドライバーは道上選手。

Modulo KENWOOD NSX GT3はスタートで1台抜く好スタートを見せますが、その後一つ後ろのポジションだったライバルに抜かれて順位変わらずのままオープニングラップを走ります。

17周目にGT500クラスでオーバーランによる単独クラッシュが発生。ここでセーフティーカー導入となります。セーフティーカーはGT500クラスの23周目に解除となりますが、このタイミングはちょうどレースの折返し地点。このタイミングで大津選手にドライバーチェンジ。

GT300のすべてのチームがピットインを終えるとModulo KENWOOD NSX GT3は7番手を走行。しかしその直前を走るライバルは若干ペースダウン気味で差は徐々に縮まっていきます。そして41周目でオーバーテイク!順位を一つ上げて6位浮上。しかしレース後のインタビューではこの段階で実は「タイヤのグリップ感が喪失していた」と語る大津選手。6位浮上の前から背後でプレッシャーを与える大ベテランのライバルを、数周に渡り抑え込んでいきながらのオーバーテイクで6位に浮上した25歳の大津選手の走りは観る者に興奮を与えたことは言うまでもありません。しかし42周目にライバルに先行を許してしまいます。結果的には予選順位と同じ7位でチェッカーを受けるModulo KENWOOD NSX GT3。

予選順位と変わらぬポジションでのリザルトとなった鈴鹿戦ですが、大津弘樹選手の大いなる躍進を垣間見ることができたレースとして記憶にとどめておくべきレースとなりました。大津選手は鈴鹿の予選日に25歳の誕生日を迎えましたがその誕生日にふさわしいレースだったのではないでしょうか。

予選では15番手と苦しいポジションとなった64号車 Modulo Epson NSX-GT。開幕からこれまでの2戦では淡々と走りライバルのトラブルにより順位を上げてポイントを獲得してくレースでしたが、この鈴鹿では速さを見出すことが出来ずにいたようです。

スタートドライバーはナレイン・カーティケヤン選手。予選からマシンが良くなってきたとはいえスタート直後からトップグループとの速さの差にもがくこととなってしまいます。それでも17周目でライバルが単独クラッシュを喫するとそこでポジションが一つ上がります。

そのクラッシュが原因となりセーフティーカーが導入され23周目に解除となると25周目にピットインをし牧野選手にチェンジしてコースに飛び出していきます。しかしここでピット作業違反があり、牧野任祐選手はドライブスルーペナルティを受けてしまうことになったのです。このペナルティについて中嶋総監督は「ただでさえ厳しいレースでしたが、その上ペナルティで選手に対して足を引っ張ることとなってしまった」と語ります。

順位はポイントにあと一歩及ばずの11位で中嶋総監督の言う「ただでさえ厳しいレース」でした。トップグループからベストラップで3秒以上も引き離されるほどセッティングが難しかった猛暑の鈴鹿。原因は諸々考えられると思いますが、次戦以降はそれを克服していくことが期待されます。

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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