【SUPER GT2019】第4戦のタイでシーズン折返し。Modulo勢2台のSUPER GT、2019シーズン前半を振り返る(PR)

長距離戦の富士500kmも大雨の中のスタート

5月4日に行われたSUPER GT第2戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」の決勝レース。

スターティンググリッドにマシンが並べられた頃には雨は振ってはいませんでしたが、徐々に雲行きが怪しくなってきます。

グリッドから観客やレースクイーンが退去を始める頃には大粒の雨が本格的に降り始め、レインタイヤに履き替えるマシンも出てきます。34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3はこの時点でレインタイヤを選択。

スタートドライバーは大津弘樹選手。前回の開幕戦岡山ではドライバーチェンジをする前にレースが中止となってしまい決勝でドライブすることは叶わなかった大津選手ですが、実はセパンや岡山のテストではウェットコンディションをかなり長い時間走り込んでいました。

このウェットコンディションで大津選手は期待通りの走りを見せてくれます。8番手スタートから2周で1台というハイペースで次々と前走車を追い抜き、13周目でセーフティーカーが入る頃には3位にまで浮上。ここまでの走りは「ウェットの大津」との異名をつけても良さそうな勢いで、観衆を沸かせていました。しかしそのセーフティーカー導入中にGT300のライバルがスピンするなど一時的に雨が激しくなり、また雷も激しさを増すということで赤旗提示でレースが中断されます。

中断から20分ほどで雨は止みレース再開となりますが路面はまだウェット。しかし乾き始めてきた路面にタイヤが合わずModulo KENWOOD NSX GT3はポジションをズルズルと後退させていきます。ここでイレギュラーなピットイン。しかし路面はまだ濡れているということでレインタイヤにもう一度履き替えてしまいますが、その後5周ほどで路面のレコードラインはほぼドライコンディション。次のピットインではスリックに交換しドライバーチェンジも行います。つまり先のタイヤ交換でピット一回分を損してしまったということになります。

スリックタイヤとなったModulo KENWOOD NSX GT3は20位以下まで順位を落としますが、ベテラン道上龍選手のドライブで順位を上げていき16位まで上がったところで最終スティントを再び大津選手に。下位に沈んでしまったとはいえ大津選手も諦めずに攻め込んでいき1分39秒台でコンスタントにラップを重ねていきます。そんな快調に見えたModulo KENWOOD NSX GT3が突然のシフトチェンジができなくなるというトラブルで緊急ピットイン。

NSX GT3のシフトチェンジ機構は圧縮空気で制御するのですが、その圧縮空気が漏れてしまったためシフトチェンジが出来なくなってしまったとのこと。残り周回数18周では空気漏れの箇所を特定して修復することは不可能ということで86周でリタイア届を提出してしまいます。このトラブルは次戦以降では解決してはいますが、通常壊れるような場所ではないということで徹底的に原因の究明が行われたようです。

64号車Modulo Epson NSX-GTの決勝レースはGT500の15番手からスタートという厳しい始まりとなっていました。

セイフティーカースタートとなったこのレース、3周目までにはセイフティーカーも退きレーシングスピードでのレースとなっていきます。しかし牧野任祐選手はハードウェットのレースに手こずり、順位は変わらずのまま進んでいきます。その後悪天候のために12周目にセイフティーカーが導入され15周目に赤旗提示でレースが中断となると、それまで開いていた差は一気に縮まり下位にいたModulo Epson NSX-GTにとっては若干有利なレース展開となります。レース再開後、ナレイン・カーティケヤン選手に交代。ウェットから徐々に乾きだした路面の難しい場面をスリックタイヤで担当することになります。

そんなハーフウェットの中でその時点でのファステストラップを叩き出し、この難しい状況でマシンを壊さずに順位を上げながら再び牧野選手に繋げたことで、後半に牧野選手が見せる追い上げを見事にサポートしたのです。完全にドライコンディションとなったレース終盤。ここからの牧野選手の追い上げは凄まじいものでした。次々とライバルを抜き去り10位でチェッカーを潜り抜けていきます。

牧野選手はレースを振り返り「自分たちの予選から考えると今の自分たちのポジションやレース内容的にも、スリックでは少しは良くなったのではないかと思います」と語り、また中嶋悟総監督は「ウエットからドライへとコンディションの難しいレースでしたが、ふたりのドライバーが頑張ってくれたおかげでポイントを獲得することができました。このレースで得たものを次のレースに繋げたいと思います」とコメントしています。

実に2戦連続のポイント獲得でModulo Epson NSX-GTのこの先が楽しみになってくるレースとなりました。

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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