2030年度 新燃費基準で軽自動車のトレンドは大変換が必至!?【週刊クルマのミライ】

■車重800kgでの燃費基準はWLTCモードで28.4km/L。スーパーハイト軽は生き残れない?

2019年6月3日に国土交通省と経済産業省が設置した「燃費規制に関する審議会」が、2030年度を目標とした新しい乗用車の燃費基準値を発表したことはご存知でしょうか。

その段階では以下の3パターンが新燃費基準の一例として挙げられていました。

コンパクトカー(車両重量1000kgの場合):27.3km/L
セダン(車両重量1400kgの場合):24.6km/L
ミニバン(車両重量1800kgの場合):21.1km/L

じつは、この新燃費基準が発表された段階で、日本独自のカテゴリーである軽自動車に未来に暗雲が立ち込めていました。車重1000kgで27.3km/Lの燃費性能が求められるというのであれば、重さが600~800kg程度の軽自動車ではどれほど優れた燃費性能が求められるのだろうと、軽自動車の立場からすると戦々恐々だったのです。

このたび、「乗用車の新たな燃費基準に関する報告書」が公表され、その算出方法が明らかとなりました。合わせて、WLTCモードによる新燃費基準の目安となるグラフも公開されています。

そこで、「乗用車の新たな燃費基準に関する報告書」に記載されている算出方法に基づいて、軽自動車カテゴリーに関わってくる重量と燃費基準を独自に計算してみました(小数点以下の数値は報告書に基づき四捨五入しています)。

600kg:29.2km/L
650kg:29.1km/L
700kg:28.8km/L
750kg:28.6km/L
800kg:28.4km/L
850kg:28.1km/L
900kg:27.9km/L

こうして見ると、意外に軽量になっても燃費基準が厳しくない印象を受けます。たとえば、スズキのベーシック軽自動車「アルト」のNA・FFでは、車重650kgでJC08モード燃費が37.0km/Lとなっています。JC08モードとWLTCモードの燃費値を比べると後者のほうが悪くなる傾向にありますが、大きく見積もっても8掛けにして新燃費基準に達しているのであれば、2030年になっても大丈夫でしょう。

つまりアルトのような絶対的な燃費性能に有利な背の低くて軽い軽自動車は新燃費基準をクリアできると考えられます。ただし、ターボエンジンを搭載するスポーツモデルのアルトワークス(FF・5MT)は670kgで23.0km/Lですから、このままでは2030年度の燃費基準をクリアできません。

ちなみに、同じくスポーツモデルでいえばホンダ・S660の6MTは車重830kgで、JC08モード燃費が21.2km/L。こちらも厳しいといえそうです。

さて、現在の主流であるスーパーハイトの軽自動車はどうでしょうか。ここでは日本一売れているモデルホンダ・N-BOXの数値を見てみましょう。もっとも燃費に有利なNAエンジンのFFで見てみると、車重900kg、JC08モード燃費は27.0km/Lとなっています。仮にJC08モード燃費の数値を8掛けにすると、21.6km/Lとなります。

実際のデータではないので、あくまで仮説ですが、ハイブリッド機構も備えないパワートレインのままでは新基準は到底クリアできそうにありません。またWLTCモードでは測定時の最高速度もずいぶんと上がっています。つまり空気抵抗に不利なスーパーハイトの軽自動車にとっては条件が、より厳しくなると考えられるのです。

もちろん、まだまだ時間はありますから技術が進歩するのは間違いないでしょう。

しかしながら軽自動車という数の出るカテゴリーにおいては燃費基準に達していないクルマを売るというのは考えづらいのも事実です。「2030年度からの新燃費基準を、軽自動車はクリアできない」ということはないでしょうが、燃費性能への要求が厳しくなる中で背の低い軽自動車が主流になる可能性を感じます。新しい燃費基準は軽自動車のトレンドがスーパーハイトからハイトワゴンに変えるきっかけになるのかもしれません。

(山本晋也)

【関連リンク】

国土交通省:「乗用車の新たな燃費基準に関する報告書」の公表
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000217.html

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