【週刊クルマのミライ】軽自動車60年の歴史をもってしても価格アップは不可避…三菱・益子CEOが語った理由とは?

●軽自動車を知り尽くした三菱自動車も「新時代のクルマづくり」においてコストダウンは限界か?

三菱自動車工業と日産自動車が共同開発をした新型・軽自動車「三菱eK」と「日産DAYZ」がフルモデルチェンジ。2019年3月28日にあいついで発表会が行なわれました。日産の軽自動車は21世紀になってOEMによって始まったといえますが、三菱の軽自動車は、その始祖といえる軽3輪「レオ」の誕生が1959年ですから、今年で60年を迎えるほど歴史を持っています。

新しい「三菱eK」と「日産DAYZ」という兄弟モデルについて、開発の主導は日産というのは公然の事実ですが、生産を担当しているのは三菱の水島製作所(岡山県倉敷市)。軽自動車の生産については一日の長以上の経験を有しているというわけです。

三菱自動車を代表して、発表会の挨拶に立ったのは、同社の益子 修CEO。なにしろ三菱自動車にとって国内販売の過半数となる54%が軽自動車といいますから、力が入るのも当然でしょう。エンジン、ボディとすべてをイチから作った自信作とアピールします。

そんな力作の三菱eKワゴン、最廉価グレードでもメーカーオプションは129万6000円となっています。さらにクロスオーバーSUV風味のeK X(クロス)は141万4800円からの価格設定です。同カテゴリーのライバル車(スズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴ)と比べて高めの設定になっているのは否めません。

こうした点について質問された、益子CEOは「安全や環境ニーズの高まりなどクルマそのものが変わってきていることで価格が上がっています」と、ある意味で正直な気持ちを吐露しました。さらに「過去とはちがうクルマになってきていることを理解していただきたい」という発言もありました。

たしかに、新型eKワゴンには全車にSRSエアバッグ(前席)、SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンエアバッグが標準装備されています。さらに衝突被害軽減ブレーキ、踏み間違い防止アシスト、車線逸脱警報&車線逸脱防止支援機構、オートマチックハイビームといった運転支援システムも標準装備です。

これらの運転支援システムなどは一部のグレードではレスオプションとすることができます。その場合は車両価格が6万4800円ほど安くなります。しかし、運転支援システムをオプション設定として見た目の車両価格を安く見せるのではなく、標準装備を基本とすることで、時代の要求をしっかりと満たしているのです。

まさに益子CEOが語った「過去とはちがうクルマ」づくりによって生み出されているという証でしょう。

また環境性能については、eK X(クロス)は全車がマイルドハイブリッド仕様となっています。電動化に待ったなしというのが世界的なトレンドですが、その流れにしっかりと乗っています。マイルドハイブリッド自体は先代モデルでも採用していましたが、新型ではリチウムイオンバッテリーを使うことで性能を高めているのも見逃せません。

こうした現代的なニーズを満たすと、軽自動車の生産に長けた三菱自動車といえどもコストダウンにも限界があり、どうしても価格は上昇してしまうということなのでしょう。ユーザー心理としては、そうした事情は理解した上で、少しでも安くしてほしいと期待してしまうでしょうが、もはやシンプルに走ることだけを考えていればいい時代ではないといえそうです。

(山本晋也)

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