三菱自動車の2018年度第3四半期決算で益子会長は、前ゴーン会長について何を語った?

さて、ゴーン前会長が検討していたという、持ち株会社について。事前に話を聞かされたことはない、という益子会長は、「アライアンスについて、短期間で話をまとめることができたが、個々のブランドを守り、徹底的に重複を排除し、すべてのアライアンスメンバーについてウィン-ウィンとなること」という基本原則について紹介し、この2年間で学ぶことが多かったとしています。

今後は、「アライアンスメンバーが価値観を共有し、発展させていくこと。アライアンスメンバーであることに誇りを持てること、働きがいをもち、成果を上げること。対等、平等の精神をもち、信頼できるパートナーが必要で、同アライアンスでCASEへの対応、欧州や中国、米国などで強まる環境規制への対応もアライアンスで技術を補完する必要があります。アライアンスを建設的に推進し、これらの基本原則と必要性を確認し、合意することが必要としています。もし、持ち株会社について今後、相談を受けることがあれば、こうした精神を尊重したうえで、考えたい」としています。

昨日まで行われたアライアンスのトップ会談では、日産の西川社長、ルノーのティエリー・ボロレCEO、益子会長の3人で、今後同アライアンスを発展させることを確認。また、ルノーのジャンドミニク・スナール新会長とは、電話会談でアライアンスの重要性を再確認したそう。ボロレ氏、西川氏、益子会長でさらに会う機会を増やすとしています。

なお、益子会長は、ルノー側、日産との対話は、場所や機会を限定することなく、必要な時に会えばいいとしています。電話会談をしたルノーのスナール新会長は、とても穏やかというのが益子会長の印象だそうで、スナール新会長に来日してもらうように話をしたそう。

今後のアライアンスは、チェアマン役だったゴーン前会長から合議制に変わるといわれています。益子会長は今後、しっかりした会議、組織で決めていくことは良いことして、意思決定の遅れという懸念に対しては、対応するのがCEOの仕事としています。なお、益子会長は、3社統括会社は存在せず、ルノーと日産のオランダの統括会社であるルノー日産BVに、三菱自動車が今後も参加することはないと明言しています。

ゴーン前会長の逮捕については、逮捕当時は「なんで?」と現実感がなかったそうで、それから報道内容を知ると残念だなと感じていたそう。三菱自動車の内部調査で不正が発覚した際は、前ゴーン会長と2年近く一緒に走ってきたこともあり、情緒的に悲しいと思ったこともあるようです。なお、前ゴーン会長とは、三菱自動車の経営を変えていこうという話もしていたとしています。

益子会長は、身の丈に合った商品ラインナップで厳しい経済環境に対応していきたいと考えています。また、昨年12月には指名・報酬委員会を設置した点に言及し、前ゴーン会長による、日産との共同出資会社における不正に対応すべく、さらなるガバナンス強化を図るとしています。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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