EQCはベースとなるGLCの車台を足周りの一部を残してほぼ全面刷新し、4つを並列配置するバッテリーモジュールはホイールベース間の床面に綺麗に配されます。その前後車軸部に装着されるモーターの総合出力は300kw、0〜100km/h加速では5.1秒の俊足を誇りますが、テスラのインセイン(=狂気的)モードのようにEVをことさらに強調するようなプログラムはないようです。
代わりにというのもなんですが、前モーターを取り囲むように配されたパイプのケージは、そのままバルクヘッドを貫通し室内側で纏められています。その取り回しがミッションハウジングのように見えるのは偶然でもなく、普通のクルマなら衝撃吸収メンバーとなるミッションを持たないEQCの場合、このケージが衝突安全性能に重要な役割を果たすのでしょう。2.4t余の重量を支えるとはいえその他の構成部品もやけにゴツく、ストリップモデルからはメルセデスがいかにパッシブセーフティに気を配ったかが伺い知れます。
ちなみに現在はこのような耐衝撃性全般や生産性などの関係で既存車=GLCの車台を活用していますが、今後登場する大半の車種では、EQ向けの専用設計となるモジュラー構造のアーキテクチャーが採用される予定です。
モーターコイルにも用いられる銅線の色をモチーフにした、カッパーゴールドのようなピンクゴールドのような微妙な色を差し色に用いたインテリアは、操作系にメルセデス流のロジックが踏襲されているので、操作に違和感はなさそうです。行程や地形、電池残量などを見ながらベストなドライビングを探っていくのはEVの走る愉しみのひとつですが、EQCはステアリングにスロットルや回生ブレーキのマネジメントを5段階で切り替えられるパドルが用意されるなど、その点に抜かりはありません。