感性に歩みよったクルマ作りについても、深い考察を述べられていますので、動画を参考にしてみてください。
貴島さんいわく、3代目のNCロードスターの開発時は「人馬一体はもう古いよ」というジャーナリストもいたそうです。
それでも、守り抜くものと変えていくものを、スポーツカーにとって何が必要かを選択しながら進められたそうです。
ときには「創造的破壊」も必要だといいます。そのためには社内基準とも戦いました。時代遅れのものをずっと守り続けていてもいけない、というのもスポーツカー開発の側面なのです。
ロードスターの内装は、茶室をイメージして作られた話は有名ですが、モチーフとなった広島の茶室は武士が精神修養する場、として使われていた茶室でした。
本来動物が持っている以上に自分を動かすことができるのが自動車。そういいうものと付き合っているんだという緊張感を、ドアを開けて閉めた瞬間から感じてもらいたいという演出でした。
どちらかにハンドルを切っても即座に反応する剣道の「かまえ」を持ったクルマであり、
流鏑馬(やぶさめ)のように、どこからでも馬とコミュニケーションをとりながら矢を射ることができるような空間を、クルマのなかに作ろうという理想があったのです。それが初代ロードスターでした。まさにサムライスピリットを備えたクルマだったのです。