高速耐久テストランはいすゞのアスカで経験済み、というより各メーカーのテストで谷田部の高速周回路は知り尽くしている津々見友彦さん。今回のテストでも今までの経験で得たノウハウを各ドライバーにレクチャーしたり、スタッフにアドバイスするなど、さすが。
早朝5時のスタート時、ストレートはまだ真っ暗だったが、バンクはオレンジ色のコース証明が輝き、ストレートの計測地点から見てもバンク進入口は十分に確認できるかのように見えた。しかし、それはあくまでもシロートの目。津々見さんは自ら持ってきた懐中電灯を各バンク入口の右側にドライバーが確認できる角度でガードレールに取り付けた。
これが、彼がトヨタ2000GTをテストした時に得たやり方で、ストレートをできるだけ真っすぐに、無駄なく走らせるための手段なのだ。外から見ると真っすぐに走っているように見えるテスト車だが、ドライバーは常に細かい修正を行っている。蛇行すれば、いうまでもなくラップ毎の平均速度が下がってしまうから、ドライバーは目の前のラインを見つめることになる。すると、どうしてもバンクに入るタイミングがつかみにくくなるのだ。チラッチラッとバンクを見たときにボヤッと見えるネオン灯よりもピカッと光る懐中電灯の光のほうがガイドになるのは当然だ。
「C240に関しては全開時のリヤのダウンフォース不足を走り出してすぐに感じたね。が、それも時折パラパラと降ってきた雨で路面が濡れた時に特に神経を使う程度で走行に問題はなかった。
今回のようにテストイコール本番というパターンでクルマに乗るときは、絶対に壊さないこと、それがテストドライバーの使命なんだ。今日もそう肝に命じて走ったよ」。
全開加速は快感! by栗山純一
「谷田部では前に1回だけテストしたことがあったけど、まだバンクの感覚が十分につかめてなかったから心配だったね。でも、いざ走り出したら意外に冷静に走れたよ。C240はパワーもあるし、直進安定性もJSSレーシング・シルビア(RSターボ)より文句なくいい。特に4000rpmからは強烈の一言ですね。しいていえば、もう少しギヤ比を下げたほうがいいんじゃないかな、パワーがあるからね。このソアラ、足まわりを変えればJSSでも十分、勝てますよ」。
スターレットカップ、JSSと現役でレースをやっている栗山にとって今回のテストはレースより楽だったらしい。その分、彼はメーター類への気配りに集中できたという。油圧、ブースト計、水温、この3つは特にウエイトをおいて見た。気になったのは180度あたりまで上がっていたデフの油温計だが、一定していたのでトラブルという判断はせず、メーターを見ながらテストを続行したということだ。
エンジンはJSSと比べるとトルクが一段の太く、ストレートが見えてからの全開での加速は、恐怖感が快感に変わるほどだったとか。
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3名のドライバーの声・・・津々見さんは経験を重ねたうえでのさすがのアドバイスだったようです! さて次回その3では、この超高速耐久テスト・ドキュメントをプレイバックしてみましょう。
[OPTION 1984年12月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)