そもそも筆者がキャンピングカー生活をしたいと思いはじめたきっかけは、「夏は北海道、冬は九州・沖縄で過ごしたい」という妄想からでした。インターネットを通して仕事ができれば可能ではないかと考えたのです。
実際のところ先立つものがなければ実現は困難、特に沖縄はフェリー代が高すぎてキャンピングカーで渡ったことはないのですが、おおむね「暑ければ避暑地、寒ければ暖かい地域」へと移動しながら過ごすことはできています。
ただ、それでも寒さ・暑さを避けられない日もあります。標高が高い場所で停泊したとき、朝起きたら銀世界だったこともありました。九州出身の筆者にとって5月はもう「初夏」。東北・北陸ならまだしも、西日本でもまだ雪が残っているところが多いことに驚いたものです。
逆に北海道ならどこでも涼しい訳ではないことも学習しました。近年では北海道でも都市部は35度をマークしたり、ゲリラ豪雨に見舞われたり、台風も直撃します。蒸し暑い中、雨で窓も開けられないのは最悪です。
筆者は愛犬と旅をしていたので、自分だけ空調の利いた施設に逃げ込む訳にもいきません。そこで、ないアタマを絞って考えた、できるだけ安価で手軽にできる防寒/防暑対策の小技をご紹介します。
【防寒対策】
キャンピングカーの暖房には、FFヒーターを装備しているものが多いです。クルマのガソリン/軽油を燃料としており、エンジンを切っていても作動できます。
対して我が家Rocky21はガス暖房です。キッチンや冷蔵庫でも使用するため、Rocky21にはLPガスボンベを積んでいます。そのガスを使うのですが、さすがアメ車というべきか「ゴ———」と凄い音がします。温まるのは早いですが、ガスの減り方も早いです。ふだんは5kgボンベ1本で10日くらい保つのですが、ガス暖房を多用すると4〜5日くらいで終了してしまいます。それでは不経済だし、何よりうるさいのが難点。特に就寝時、不意に「ゴ———ッ!」と作動音が響くので安眠できません。
まずはオーソドックスに、エントランスドアからの隙間風や窓からの冷気をシャットアウト。エントランスドアには標準装備として厚手のカーテンが付いていますが、パチっとホックで留めるだけなので、その金具の間にマジックテープを付けて更に隙間風を防いでいます。シャワールームのドア下にも5mmほどの隙間が空いているので、床に隙間テープを貼っています。
Rocky21はカナダ製、寒冷地仕様なのでフロント以外の窓はすべてペアガラスなのですが、それでも冷気を感じるので保温シート(銀マット、アルミシートなど商品名は様々)を当てています。窓用断熱シートを貼ろうかとも思ったのですが、見た目があまりよくないのでやめました。車窓の眺めも楽しみたいですし。
クルマはタイヤの分、地面から浮いているので底冷えします。そこで床にも銀マットを敷いたところ、スリッパなしでも冷たく感じなくなりました。筆者は銀色の面を下(床側)にして敷いています。
ダイニングテーブルの足元にちょうどダクトが空いているのでヒーターを作動させているうちは熱いくらいなのですが、切ってしまうとダクトから冷気が流れ込んでくることで冷えてしまいます。銀マットをカットして足元を床も壁も覆い、ダクト部分は扉状になるよう工作したところ、ずいぶんと冷気を防ぐことができました。
就寝時には暖房を切っています。湯たんぽは欠かせません! それでも寒い夜には、掛け布団の上に保温シートを安全ピンで留めてます。100円ショップで販売されているような薄っぺらいシートですが、これだけでかなり温かいです。使わないときは折り畳んで収納できるので場所もとりません。
イワタニのカセットガスストーブも重宝してます。カセットガス1本で3時間半くらいしか保ちませんが、軽くて持ち運びが容易、静かだし、電源も不要です。他社製品も使ってみたところ、気温が低いとガスボンベ自体が冷えて燃焼しなくなるという本末転倒ぶりでしたが、同じカセットガスでもイワタニ製品は問題ありません。ただし車内でご使用の際には、取り扱いに充分ご注意ください。
【暑さ対策】
「寒いのは着込めば何とかなるけど暑いのはどうしようもない」という話はキャンパー同士でよく聞きます。クーラーも装備していますが、大容量の電力を必要としますので発電機を作動させるか外部電源を使用することになります。どちらも「いつでも・どこでも」という訳にはいかない方法ですので、筆者にとっては最終手段です。
まずは当たり前ですが窓を開けます。キャンピングカーの窓およびエントランスドアには網戸がついているのでムシの進入もある程度は防げます。運転席・助手席の窓を開ける場合は、ドアごとすっぽり被せる網戸代わりの虫除けネットが市販されていて、犬連れキャンパーさんにも人気です。風を通すには、天井についている換気扇を回すと効果も倍増します。
車内が丸見えになるのが気になるなら、カーテンではなくブラインドがおススメです。なぜならカーテンだと網戸にした際に風が通りづらいからです。余談ですがRocky21には白いブラインドがついていたのですが、ストライプ柄のように目がチラチラするので木目調のブラインドに付け替えました。
寝苦しい夜には、やっぱりクール寝具。効果あるのかな? と懐疑的だったのですが、確かにヒンヤリ気持ち好いです! 筆者はシーツと枕を使用、大きめの枕カバーは背中に敷いてます。
ベッドを嵩上げした際、床を「すのこ」状にDIYしたのもよかったです。ちなみに冬はマットや毛布を二重に敷くなど補填しますが、銀マットにすると通気性が悪くなるので毎日こまめに布団を乾かさないとカビが生えてしまいます、ご注意ください。
冬場はクルマを南向きに停めて太陽の光をボンネットいっぱいに浴びると車内が暖かくなり、夏はこれを逆にすれば、かなり暑さを凌げます。ただキャンピングカー車内の配置によっては、後ろが二段ベッドになっているなどかえって熱がこもりやすくなるかも知れません。また、我が家は屋根にソーラーが4枚載っているので、必然的に陰ができている状態とも言えます。
冒頭でも述べましたが、蒸し暑い中、雨で窓が開けられない時のためにダイニングの窓側にも小さいオーニングをつけました。これがあれば、風(風向き)さえ考慮すれば窓を開けておくことができます。
夏、もっとも活躍しているのは充電式の扇風機です。これは本当に便利! ソーラーが発電している日中に充電しておけば、夜間はバッテリーで稼働させられます。筆者が持っている扇風機は満充電15時間で、連続8時間使用可能です。
車内で快適に過ごすため、加湿器とプラズマクラスター搭載イオン発生機(どちらも車載用)も持っています。積めるスペースが限られているため、モノを買うならその分ひとつ下ろす、というのも大事です。何でもかんでも詰め込んでクルマが重くなれば燃費も悪くなります。キャンピングカー生活では常に「いるもの/いらないもの」を精査するので、収納・お片づけ能力がアップするかも知れませんね。
ここまで9回にわたって、キャンピングカー生活における日常的、基本的な部分を綴ってきました。次回はそのまとめ、購入を考えている方がキャンピングカーを選ぶ際に参考となれるようなポイントを、筆者なりの観点から書いてみようと思います。
(松本しう周己)
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