ホンダ Urban EV Conceptは人に寄り添うカタチ【東京モーターショー2017 コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】

東京モーターショーに出展されるコンセプトカーから、各社注目車をピックアップ。担当デザイナー氏に速攻インタビューを試みました。第7回はホンダUrban EV Conceptです。

── はじめに。EVのコンパクトカーとして、今回少し懐かしいイメージのクルマとしたのはなぜですか?

「カタチからというより、2019年に欧州で発売を想定するBセグのEVを考えたとき、やはり人に寄り添った、親しみのあるデザインであるべきと考えました」

── いまホンダが進める「エキサイティングHデザイン!!!」とはかなり傾向が違いますが?

「たとえば、フィットならフィットと、それぞれのクルマには各々のお客様層があって、デザインもそこに合わせて考えるべきだと。同じホンダでも、すべてシャープなカタチということではないと思います」

── 印象として、とにかく面がシンプルで奇をてらったところがありません

「従来のように、とにかく手を動かして線を引いてみるということではなく、どう使われるか、どういう存在であるべきかを考えました。極端な話、クリーンカーとして、家の中に入れても違和感のないような存在です」

── ホワイトのボディに、ライトやバンパーなどの要素を最低限の黒で示したのが面白いですね

「シンプルにする際、どこまで要素を抜いたらクルマでなくなってしまうか、どこまでならクルマに見えるかという観点があります。今回は、その足し算引き算を繰り返したわけですね」

── 前後のホイールアーチも、過不足のないとても自然なバランスです

「当然、最初にボディ全体を決めたわけですが、今回はグラフィックを先に決めて、そこに向けて面を作るなども試行しています。インテリア家電の美しいツマミのように、まず目に入る部分を意識することで親しみを感じる。その上で、ノイズならないデザインを吟味しました」

── ホイールも親しみの表現ですか?

「はい。ホイールの性能を直接見せるのとは異なる表現を模索しました。色もカタチも、それこそ部屋にあっても違和感のないデザインですね」

── 本日はありがとうございました。

(語る人)
株式会社本田技術研究所
四輪R&Dセンター デザイン室 1スタジオ
照井悠司 氏

(インタビュー:すぎもと たかよし)

【関連リンク】

【東京モーターショー2017コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】

第1回「トヨタ Tj CRUISER」
https://clicccar.com/2017/10/26/524603/

第2回「ダイハツ COMPAGNO」
https://clicccar.com/2017/10/27/525146/

第3回「三菱 e-EVOLUTION CONCEPT」
https://clicccar.com/2017/10/29/525927/

第4回「日産 IMx」
https://clicccar.com/2017/10/31/526432/

第5回「マツダ VISION COUPE」
https://clicccar.com/2017/11/01/526769/

第6回「スバル VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」
https://clicccar.com/2017/11/03/527694/

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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