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トラスト・セリカXX2800GTターボ
---km/h
市販のキットパーツを一切使用せず、完全にプライベートでチューニングしてある。すでに276.92km/hという記録をマーク、更にパワーアップしており、ベンチテストで365psという高出力を1.24kg/cm2時に達成している。
ターボチャージャーはKKKのK26レース用(2970U)をツインでトラスト製タコ足タイプのマニホールドに装着。ツインターボ化すると当然、吸気量も増加するために、ノーマルのエアフロメーターでは空気量が不足してしまう。トラストの場合は思い切ってエアフロメーターもツイン化してしまった。実際にコンピューターに結線されているのは1個だけで、片方は単なるエア取入口として利用するアイデアだ。エアフロメーターは燃料の量を決定するだけだから、これでもいいわけである。
エンジンはノーマルボアにアメリカのアリアス社製のターボ用鍛造ピストンを組む。冷間時のピストンクリアランスが大きく、完全なレース用パーツである。このほか、ポート加工・研磨している。カムはトラスト製の252度加工カムだ。
燃料増量は水温センサーとスロットルポジションセンサーを利用、ブースト1.0kg/cm2時で自動的に増量するシステムを使用する。
ツインターボのトラスト。パイプの引き回しが若干苦しい。ラジエターはソアラターボ用の3層。GESCOのCDIが見える。
[エンジン]排気量:2759cc/ボア・ストローク:83.0×85.0/ピストン:アリアス鍛造レース用/カムシャフト:トラスト/クランク:タフトライド処理/燃焼室+ポート:加工・研磨/圧縮比:7.5:1/タービン:KKK K26/2970Uツイン/ウエイストゲート:HKSツイン/インタークーラー:HKS空冷/EXマニホールド:トラスト・タコ足/燃料増量装置:トラスト [サスペンション]Fコイル:TRD加工/Fショック:TRDガス/Rコイル:TRD加工/Rショック:TRD8段/ブレーキ:フェロードパッド [タイヤ]F:NCT225/50VR15/R:NCT235/60VR15 [ギヤ比]トップ:0.783/ファイナル:3.145 [エアロ」フロント:FRPスポイラー/リヤ:FRPスポイラー/サイド:FRPスカート
HKSセリカXX2800GTターボ
264.70km/h
フルワークスチューンのHKS 5M-Gは2mmオーバーサイズの2892ccにボアアップし、エアリサーチT04タービンを搭載する。公表データによればカム、バルブ、腰下などのパーツはすべてノーマルとのことだ。
HKSチューンの特徴はなんといっても複雑な燃料系のコンピューターチューニングにある。毎回、各種の増量装置をセットして谷田部に登場するが、今回も調整ダイヤルを多数装着していた。その詳細は不明だが、水温センサー利用のチョークによる増量だけではなく、吸気温センサーやスロットルポジションセンサーも使用した多角的なもので、コンピューターも専用のものが開発されている。このノウハウはすべて秘密のベールに包まれたままだが、いずれ増量用コンピューターとしてキットにもボルトオン装着できる市販システムが登場するはずだ。
また、スロットルボディをチャンバーから離し、チャンバー自体も加工している。シングルターボにもかかわらず、1.4kg/cm2のフルブーストに5000rpm以下で達するというレスポンスの良さも、このあたりのモディファイに秘密があるのではないだろうか。いずれにしても、最も高度なチューニングを受けた5M-Gが、このHKSユニットと言えるだろう。
[エンジン]排気量:2892cc/ボア・ストローク:85.0×85.0/ピストン:HKS鍛造/カムシャフト:ノーマル/クランク:タフトライド処理/燃焼室+ポート:秘加工/圧縮比:秘/タービン:エアリサーチT04/ウエイストゲート:HKSレース用/インタークーラー:HKS空冷レース用ツイン/EXマニホールド:HKS鋳造/燃料増量装置:HKSフューエルコンピューター [サスペンション]Fコイル:強化型/Fショック:コニ/Rコイル:強化型/Rショック:コニ/ブレーキ:HKS大容量ベンチレーテッド [タイヤ]F:HFD205/50VR16/R:XWX225/70VR15 [ギヤ比]トップ:0.783/ファイナル:3.583 [エアロ」フロント:FRPエアダム/リヤ:アルミ&FRPウイング/サイド:FRPスカート
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さすがの大チューニングメーカーHKSは、コンピューターチューンの先駆者だけあり、この時代にすでに始まっていますね。はたまた「コイル=ノーマルカット」なんて、懐かしくて微笑ましい(?)ワザまで!
そんな時代を経て、いよいよ300km/h時代へと突入していく雰囲気満載の1982年の谷田部・最高速テストでした。さて、次は・・・!
[OPTION 1983年2月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)