【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】第13回・早すぎた先進のFFグランツーリスモ。日産・オースターJX

厚みを持たせたフロントグリルは、3兄弟で唯一モールを廃したシンプルな表情。コーナーランプ一体の異形大型ライトとのマッチングもよく、3兄弟の中でオースターがオリジナルデザインであったことを物語ります。

バンバーに施された塗装やAピラー、3ドアのリアハッチなど、随所をブラックで引き締めることでスポーティさを演出。トレイタイプのインパネやグラデーション処理のシートとともに「FFグランツーリスモ」を具現します。

デザインチームは、FFの合理性を最優先に表面的な「スタイリング」は行わないことを標榜。空力とパッケージを磨き上げる姿勢は非常に先進的で、910ブルーバードがヒットする当時には、あまりに早すぎる登場でした。

しかし、その遺伝子は10年後に名作プリメーラとして開花するなど、日産が時折見せる欧州タッチの秀作たちにしっかりと引き継がれたのです。

●主要諸元 日産オースターJX 4ドアセダン 1800GT-EX(5MT)
型式 E-PT11
全長4405mm×全幅1665mm×全高1385mm
車両重量 970kg
ホイールベース 2470mm
エンジン 1809cc 4気筒OHC
出力 110ps/5600rpm 16.5kg-m/3600rpm

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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