13Bロータリーのスターレット、ホンダN500、シルビアRSターボも走った![83年の谷田部テスト後編]

ゼロヨンに徹底した軽量マシン

2T-G改2Lスターレット by エッセンシャル

ゼロヨン=13秒57

一見、TS風のスターレットだが、実はドラッグ専用マシン。エンジンは2T-G改のフルチューン。排気量は1940cc。キャブはウェーバー48φのツイン。排気系はタコ足、ストレートマフラーを装着している。もちろん、吸気ポートやヘッドは研磨されており、圧縮比も10.8と高くしている。カムはIN320度/EX304度。TRDの18RG用大径バルブを組む。レブリミットは9000rpmだ。

ボディはかなり軽量化され、700kg弱。内装は剥ぎ取られ、FRPのバケットシートがひとつ。助手席には、エンジンルームから追いやられたラジエターが装着してある。簡素なメーターパネルには、1万1000rpmまでのタコメーターと水温、油温、油圧計があるのみ。これが必要最小限なのだ。オーバーフェンダーはオリジナルのFRP製で、かなりの迫力だ。足まわりはショックをTRDのカローラ用、コイルをTRDのセリカ用で強化、パワーを確実に路面に伝えるため、M&Hのドラッグスリックを後輪に装着している。

大型タービンとエンジンチューンがマッチせず

シルビアRSターボ by トライアル

最高速=235.29km/h

ナニワチューンといえば、L型でも伝統的なキャブ仕様が主流で、ターボは珍しい。しかも、ソレックス+ギャレットT05という激烈マシン。このT05ターボはとにかく超大型サイズで、レース用にしか使用されないほど。市販車のボンネット内に収めるのも、大変な作業なのだ。超大型サイズのため、特徴的にも高回転タイプだ。1速で7000rpm以上回して2速へシフトアップすると、回転がダウンし一旦止まるような感じがして、5000rpm以上になってからノーズを上げながら急加速していく。低中速のタイムラグが大きいのは仕方ない。

注目の高速域だが、5速でもスムーズに6500rpmくらいは回るが、それ以上は頭打ちになる感じで6600rpmしかのびない。これは、ノーマルのカムという点が大きな要因だろう。ブースト圧は1.05kg/cm2で、ピタッと安定している。チューナーによると、ノーマルカムでは1.3kg/cm2まで上げても、それほど変化しないという。マキシマムスピードの235.29km/hもやむをえない。ゼロヨンのほうは、1発めのスタートでクラッチが痛み、タイム計測は不可能に終わった。T05タービンの実力からいけば、パワーは限界なくあがると思われるが、高回転タービンに合ったハイカムの選定やソレックスキャブのマッチングは、これからの課題といえ、今回のテストデータを元に本格的なチューニングに入るというから楽しみだ。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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