13Bロータリーのスターレット、ホンダN500、シルビアRSターボも走った![83年の谷田部テスト後編]

 

CRキャブの気難しさがたまらない

ホンダN500 by 稲葉自動車

最高速=139.53km/h

70年代前半のKハイパワー狂騒の火付け役になったのが、ホンダN360だ。当然ながら、ミニカーレースでも常勝マシンで、ホンダワークスのRSCまで登場したほどだった。今回テストしたN360に搭載されたエンジンも、ミニカーレース全盛時期にチューニングされた、500ccのフルチューン版。圧縮比が高く、セルスターターもやっと回るほど。さらに、レース用サイドポートのCRキャブは気難しく、まさにレーシングカーである。アイドリングもカブリを防ぐため、2000rpm近くにセットされ、ストレート・エキゾーストからのサウンドは、3Lターボより大きいほどだ。クランクまで軽量されたエンジンのフケはさすがで、7000~8000rpmまでポンポンとハネ上がる。

ミッションは完全なレース用クロス5速が組み込まれているので、スタートで引っ張る以外は、すぐに5速にホールドされる。サスペンションも完全なレース用が組まれているため、バンク進入時も実に安定している。5速でも1万rpm近くにピーク設定されたミッションだが、プラグの設定ミスか、8000rpm近くでバラつく。アクセルを全開にしても8000rpm近くでタコメーターの針が大きく振ってしまうので、気持ちアクセルを閉めバラつきのない回転で安定させて、計測地点を通過する。フロントスポイラーとリヤスポイラーの効果は大で、ストレート走行も楽だ。

最高速は139.53km/h。ミニカーレース全盛時代の、富士逆回り4.3kmのラップからみて、第1コーナー直前では150km/h以上は出ていたと予想され、目標達成はならなかった。

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最高速やゼロヨンは、ZやGT-Rだけのものではありません。まさに、チューニングの面白さがこの記事にはたくさん詰まっていました。やっぱり、チューニングは魅力的ですね!

[OPTION 1983年8月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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