さて、ムーヴキャンバスの開発陣にインタビューしたときに、ダイハツの市場調査力の鋭さに感心させられた2016年でしたが、もう一台のニューモデルである「トール」が、「軽自動車の技術を活用したコンパクトカー」といったアピールをしたときにも時代の変化を感じさせられました。
というのも、かつては「軽自動車は生理的にイヤだからコンパクトカーを選ぶ」という嫌軽的なユーザーマインドが明らかにあり、同社のブーンのようなリッターカーは、そうした”嫌軽派ユーザー”に向けた商品企画という印象があったからです。
一方で、増税の影響もあり軽自動車のシェアが下がっているとはいえ、この10年間で乗用車全体における軽自動車比率が上がったことで、相対的に嫌軽派が減り、軽自動車をポジティブに捉えるユーザーが増えたという印象もあります。
ダイハツが「トール」において軽自動車の発展形とも捉えることができる表現を使ったのは、そうしたユーザー意識の変化を示しているのかもしれません。
トヨタではタンク/ルーミーという名前で販売されるこのクルマはトヨタ系販売網だけで3.5万台の初期受注を集めるほど評価されているのですから、まさに時代の変化を感じます。
そうした理由で、トール/タンク/ルーミー/ジャスティという兄弟車に2点を投じたのでした。