【クリッカーオブザイヤー2016】マーケットの変化を実感する象徴的存在のムーヴキャンバスこそ年クルマに相応しい

続いて6点を投じたのがスバル・インプレッサ。新世代プラットフォームによる走りの良さは著名モータージャーナリストの方々も認めるところでしょうが、6点の理由に走りの要素はありません。

このクルマのポイントは、全グレードに先進安全技術「アイサイト」と「歩行者用エアバッグ」を標準装備したことです。

16impsport

この10年ほど、国産車の評価ポイント、選択基準としては燃費性能が最優先されてきた印象があります。しかし、スバルがアイサイトを全面展開することで「ぶつからない」という機能がユーザーの選択理由としてプライオリティを増してきた印象があります。

新型インプレッサが、ターボエンジンでもなく、ハイブリッドでもなく、ごくごく標準的なNAエンジンにも関わらず、すばらしいスタートダッシュを切ったことは、パワートレインに由来するパフォーマンスよりも、ぶつからないこと、ぶつかっても攻撃性を抑えることという安全性能に着目するというユーザー意識の具現化と感じるのです。

そうした安全性能を重視したクルマ選びが、トレンドに主流になりつつあるのを感じます。そのきっかけを作ったのがスバル・インプレッサだとなれば、まさに歴史に刻まれるべき一台となりそうです。

Print

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる