トヨタ・KIROBO mini(キロボミニ)開発者に聞く「パートナーとのお別れの時はどうなるんでしょう?」

ーー5歳児だったら間違ったりもするんですか?

20161003CEATEC Toyota KIROBO_019片岡「間違いますよ! トヨタの技術者だったら真面目に『間違わないように』とか『キチッと』作るかも知れないんですけど、まあ、私もトヨタの技術者でもあるんですけど(笑)、僕はそういう『間違う』とか好きなんですよ。それでないとコミュニケーションパートナーとして面白くないんですよ。当たり障りのない答とか、ぜんぜん外してないのか、ボケもツッコミもないのか、とならないようにしてます。トヨタが作ったからトヨタっぽい真面目になっちゃったね、じゃなくて、ちょっと笑ってしまうようにしたい。それがグローバルビジョンである『笑顔にする』ということに合ってると思うんですよ。」

ーーそれは実現できたんでしょうか?

片岡「そのための機能は、ハードウェアに入っています。人の表情を見て感情を推定することができ、それによって話しかけます。喜び度何パーセントとかの認識ができて、喜んでいるようであったら喜ぶ。悲しんでいるようだったら悲しむ。そうすることで、寄り添うことができるわけです。」

ーー寄り添って、笑顔にさせるところまでやってくれるんですよね?

片岡「極力そうしようと思っていますが、なにぶん5歳児なもので、意図的に持っていけないケースはあります。ただ、そのズレたところでも笑顔になってくれればしてやったり、と思っています。」

ーー表情で笑顔であるとか悲しんであるとかを認識できるんですね。いわゆる顔認識によって個人の特定はしないとのことですが、特定しないのであればそのデータは他に活用できそうです。そうしてサーバに集まった多くの情報はキロボミニとユーザーのコミュニケーション材料としてしか使わないんでしょうか?

20161003CEATEC Toyota KIROBO_006片岡「キロボミニで集めた情報を僕は『鍵付きダイアリー』と呼んでいます。もしそうでなければSNSになってしまいます。愚痴だって言えなくなる。人とのコミュニケーションのためにはそういう吐き出すことが必要だと思うんです。なのでそのため(ユーザーとキロボミニの)コミュニケーションだけに使うのが必要なんですよ。それにトヨタの信頼にも繋がります。」

ーーそうか、その鍵がかかってないと、本音が出ない。そうするとキロボミニの目的である本当のコミュニケーションができなくなるんですね。

片岡「だから基本は一対一で使ってください、と思ってました。けれど、いろんな話をするうちに、家族で使ってもらう想定があってもいいかなと思い始めました。家族の食卓にキロボミニが座っている。家族の一員になって、親が子供に叱ったとき『だよねー』と言ったとしたらそれで子供は反省するかもしれない。親も言い過ぎたと思うかもしれない。円滑にすることができるかもしれない。そして家族の記憶を残しておくこともできるかもしれない。そういうバージョンも必要かもね、と思っています。」

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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