こうしたエンジニアのテストドライブ・スキルのレベルアップは、クルマ作りに好影響を与えるといいます。
たとえば、エンジンベンチのような機上試験においても、数字を見るだけでなく、走行状態を頭の中でイメージしながら、リンクさせた試験ができるようになったといいます。
つまり、開発段階では数字として見えない過渡特性をエンジニアの中でシミュレーションできるようになるわけです。
また、数字として表現できるように、あらたな計測方法を生み出すきっかけになることも、SDAで腕を磨くことから期待されています。
あらためてチーフインストラクター秋山さんにうかがいました。SDAの活動はいつまで続けるのですか? と。
その答えは「未来永劫です」というものでした。
第一期で終わらせることなく、SDAというエンジニアのテストドライブ・スキルを磨く活動を続けていくことで、将来的にはすべてのエンジニアがトップクラスのテストドライバー同等のスキルを有した状態となることで、スバルのクルマ作りがレベルアップすることが狙いだといいます。
その対象はエンジニアだけにとどまらないかもしれません。企画部門やデザイナーもテストドライブのスキルを磨くことで、スバルのクルマ作りが一貫性を持ち得ることも期待されます。
たとえ自動運転の時代になっても、スバルのクルマ作りは「走りの愉しさ」を重視するという姿勢は不変なのです。
(文:山本晋也 写真:山本晋也/富士重工業)