【Audi A3 Sportback e-tron試乗】アウディから日本初上陸のPHV、価格564万円の価値はどこにある?

アウディA3 e-tronは「プラグイン」とは言え、ハイブリッドです。簡単に言えば、バッテリーを大きめにしたハイブリッド車です。イチバンの違いは、外部から充電でき、電気だけで走行できるモードで走れる距離が長いのがメリットと言えます。

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しかし、アウディと同じグループでプラグインハイブリッドとしての構成パーツの多くをA3 e-tronと共通するゴルフGTEでは、それに加えゴルフのスポーティモデルGTIの走りに負けないのに加え、さらに別に走りの楽しさを提供している、というのが「ウリ」であり付加価値を高めた価格設定にあります。

アウディブランドではどうなっているのか、乗って確かめることとしました。

PHVは、日常の比較的短い距離では電気で、遠出をするときはガソリンエンジンとモーターによるハイブリッドで走るのが基本です。

A3 Sportback e-tronでは、EV、ハイブリッド、バッテリーレベル維持、ハイブリッドチャージの4タイプの走りのモードがあります。

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EVモードはバッテリーが続く限りバッテリーのみで走ります。アクセルを踏み続けても最高速度の130km/hまで電気で走り、そこからエンジンには切り替わったりしません。

ハイブリッドオートモードは、もっとも普通のモードですが、一般的なハイブリッド車より電気自動車に近い。アクセルを強く踏んだりしない限り、エンジンに頼ることなくなるべくバッテリ ーで走ろうとします。

バッテリーレベル維持モードは、ドライバーが設定したバッテリーの充電量を維持するモードです。

ハイブリッドチャージモードは、バッテリーの充電量をなるべくフルに近づけようとします。ヨーロッパなどで電動車両しか入れないような地域で走るためにあるといいます。

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オートモードで走り出してみると、ほとんど電気自動車のようです。バッテリーが極端に減っていなければ、アクセルを意図的にグッと踏み込んで加速するときなどはエンジンが始動し、ターボが効いたようなイメージで加速が増します。

アクセルを離すと、ハイブリッドの回生や、ガソリン車のエンジンブレーキのようには減速しません。これは、エネルギーを回生するよりも惰性で走らせたほうがエネルギー効率はいいという発想です。欧州車に多い、コースティングモードに値します。

そのまま平坦な場所でゆっくりとアクセルを踏み続けると、モーターだけで120km/hくらいは走ることができるといいます。つまり、日本国内ではオートモードでバッテリーが続く限り「ほぼ電気自動車」で走れると言えます。

ハイブリッドチャージモードでは、バッテリーが減っていると、エンジンがかかりバッテリーに充電するとともに動力となります。

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パワートレインの特徴以外はアウディらしいカッチリとしながらゴツゴツしない乗り心地、ステアリング操作に対して自然なハンドリングなど、従来のアウディA3と変わりなくコンパクトカーの領域を超えたものといえるでしょう。静粛性もロードノイズはもちろん、モーター、インバータなど特有の電気系から発するノイズも抑えられています。重量も増している分、ある意味より大きなクルマに乗っている感覚もありました。けれど、バッテリーなどの重量増によるマイナスは特には感じませんでした。

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プレミアムブランドならではの高付加価値として、専用のスマートフォンアプリでは、エアコンや充電状態をリモートコントロールでき、プラグインハイブリッドとしての「新しい」走りは十分にその価値があるように思います。

今なら、アウディから200Vの充電設備工事代金を最大15万円を提供するプログラムもあります。発売は、年内とのことです。

(clicccar編集長 小林 和久)

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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