【三菱デリカD:5試乗②】フリクションダウンのエンジンと8速ATの組み合わせはベストマッチ

デリカD:5のマイナーチェンジではガソリンエンジンモデルは据え置き、ディーゼルエンジン搭載モデルが変更になりました。

新しいディーゼルエンジンは型式こそ4N14と同一ですが、内容はずいぶんと変わっています。パーツの約50%は新規パーツに更新、主要運動系パーツの重量は17%もの軽量化を達成しています。さらにピストンリング張力を25%低減するとともに、ピストンスカート摺動面積を36%低減するなどし、フリクションについても大幅に低減されています。

大幅な進化を遂げたエンジンに組み合わされるのは、従来の6速ATではなく新開発された8速のステップATです。1速からグッとギヤ比が下げられたこともあり、発進の力強さは従来モデルを大きく上まわります。エンジンのフリクションが減っていることもあり、吹き上がりはスムーズでガソリンエンジンを彷彿とさせます。

しかもガソリンエンジンとは異なり、低速からしっかりとトルクが付いてきますので、加速はかなり力強いものとなっています。アクセルを軽く踏み込むだけでグッと力強い加速が得られるところは、さすがディーゼルエンジンといったところです。

そして、太いトルクは巡航走行でもその力強さ、安定感を備えています。100km/hのエンジン回転数は8速では1500回転程度ですので、ゆったりと走れることは間違いありません。走行時のノイズもほとんど感じることはありません。

ACCを使って走っているとき、先行車に追いつき、追い越すときはウインカーを作動させたときから加速が開始されます。つまり加速しながらの車線変更(ステアリング操作はドライバーが行う)という動きとなり、一連で自然な動きとなります。ACCの設定速度で走っているときはウインカーを作動させても加速は行われません。

ACC作動時に先行車に追いついてそのまま走行。先行車がいなくなったときには、設定速度まで加速を続けますが、その加速感もちょうどいいものです。フル加速ではありませんが、良識を持った速度回復操作というイメージです。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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