日産が4年でハイブリッド車15モデルも投入するわけは?

ロイターが伝えるところによると、日産自動車が12日、2016年末までに新たに15モデルのHV車を投入する計画を明らかにしたそうです。
同社は現在「セレナ」、「フーガ」のHV車を販売しており、今後、FF仕様のHVやPHVを追加することで、HVシリーズを合計17モデルに拡充する方向と言います。

EVについては2016年までに世界で150万台(ルノー含む)の販売を計画しているそうですが、インフラ、航続距離、価格などの課題を抱えており、2010年12月に発売した「リーフ」の販売台数は累計で4.6万台程度に留まっている模様。

今回の日産のHV車ラインナップ拡充宣言はEV路線を変更したという訳では無く、当初からHVも平行してやっていくというスタンスであり、EV開発で得たモーターやリチウムイオンバッテリーに関するノウハウをHV車に転用していく考えとしています。

事実、今後2014年に「インフィニティ」のEV車を発売、2016年にEV新車種を追加するようで、2013年からは欧米でもEV車の生産を開始するなど、欧米での販売拡大に期待しているとのこと。

さらに同社が2008年に先陣を切ってエクストレイルに搭載した「クリーン・ディーゼル」についてもルノーとのアライアンスを活用して拡充する方向のようで、「NOTE」で日本初となった「ダウンサイジング+ターボ」路線を含めて、全方位でエコカー戦略に取り組んで行く模様。

トヨタ AVARON

一方、一貫してHV車をエコカーの機軸に据えるトヨタは『トヨタが「2015年末までに新型HVを21モデル投入」を発表 !』でお伝えしたとおり、今のところEV車の開発には消極的で、「iQ」をベースにした「eQ」を12月に自治体や特定利用者向けに限定販売するに留めています。

おりしもトヨタが米国販売でカムリやプリウス系に加えて、新型「アバロン」にもHVモデルを設定、豊富なラインナップでHV攻勢をかけていることから、日産もHV車の販売が好調な米国に於いてはEVだけで無く、日本国内も含めてHV車の品揃えを拡充する必要性に迫られている背景が有るものと推測されます。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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