カーオブザイヤー受賞の日産リーフ、受賞の理由は周辺環境の整備【東京モーターショー】

2011年のCar of the Year(COTY)を受賞した日産リーフ。評価の理由は電気自動車というクルマそのものもありますが、それを取り巻く環境の整備も大きかったと言われています。

COTY選考委員で、ご自身も日産リーフを所有する自動車評論家の国沢光宏さんも、日産のインフラ展開のスピードに文句はありつつも、急速充電器の自社開発や使用済み電池のリユースに対して一定の評価がある、と筆者に語っていただきました。

そんな日産の環境整備の本気具合を、まざまざと見せつけるのがこの新型急速充電器。

モーターショー開幕直前、プレスデーの初日である11月30日に発売開始となったこの急速充電器は、その価格がなんと79万8千円!(標準仕様)

事前のリリースでは「100万円を大きく割る」という程度の価格示唆でしたが、リーフを30分で充電できる高容量タイプなのに80万円を切ってきました。変圧設備などの電源供給の基礎さえ整っていれば取付工事費込みでおおむね100万円で設置できそうな価格設定です。他社製の急速充電器では1時間充電の中容量タイプですら200万円近い金額。価格競争力はかなりのものです。

また、すでに発表になっているリーフの電池を使った蓄電設備や太陽電池などと組み合わせれば、自然エネルギーを柱に走行用電力を賄うことが可能になります。電力会社から電気を買うこと無しに、つまり原発無しでも急速充電が成り立つシステムを、他社製急速充電器を購入設置し、電力会社の商用電力で運用する金額内ですべて構築できるのです。
電力会社から買った電気の再販売は法律や省令でかなり規制されますが、自分で作った電気を売ることは、この規制から外れます。採算の取れる電気スタンドの構築にも一役買うことでしょう。79万8千円とはそういう金額なのです。

こういった観点から考えても、日産リーフのCar of the Year受賞は価値のあるものであった、と言えるのです。

日産自動車、電気自動車用「新型急速充電器」を発売
http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2011/_STORY/111130-01-j.html

「日産リーフ」、2011-2012日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞
http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2011/_STORY/111203-01-j.html

(北森涼介)

 

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる