メルセデスベンツが採用するAMG譲りの新エンジン技術「ナノスライド」がすごい

 

メルセデス・ベンツの新しいV6ディーゼルエンジンの中身を見れば、まるで磨かれたかのようにピカピカなシリンダー内壁が確認できます。見るからにエンジンのフリクションを低減していそうな雰囲気ですが、これは手作業で磨いたものでなければなんでもなく、完全な量産エンジン。

 

このピカピカのシリンダー内壁を支えるのが「NANOSLIDE(ナノスライド)」。

メルセデス・ベンツの環境エンジン技術といえば”BlueEFFICIENCY”と総称されていますが、そのニューフェイスともいえる新技術であります。

 

 

とはいえ、もともとAMGの6.3リッターV8エンジンには2005年あたりから採用されていたものですからニューフェイスというよりは、量産エンジンのコストに乗るようになったというほうが正解でしょうか。

 

その工程では派手に火花が散っているように見えますが、それもそのはず。このナノスライドは2本のスチールカーボンワイヤーを溶かしてシリンダー内壁にコーティングしてしまうというもの。

その厚みは0.1~0.15mmと聞けば心配になるかもしれませんが、だからといって剥がれてしまうということはありません。

 

すでに何年も、7万5000機以上におよぶAMGエンジンにおいて採用されてきた技術なのですから、そのあたりの心配は無用ということ。

 

 

 

この「ナノスライド」が採用されるのは3.0リッターV6ディーゼルエンジンから。

従来はブロックに鋳鉄ライナーを埋め込んでいた分、重くなりがちでしたが、このコーティング技術によりエンジン単体重量で約4.3kgの軽量化を果たしたといいます。

 

もちろんフリクションも大幅減ですから燃費も改善。

この「ナノスライド」によるディーゼルエンジンを積むML350ブルーテックのユーロ複合モード燃費は6.8L/100km(≒15km/L)と従来モデルよりも24%もの改善を果たしたといいますから、まさにこれからの環境エンジン技術として見逃せません。

 

「ナノスライド」という名前、しっかり覚えておきましょう。

 

(山本晋也)

 

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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