女性→中性→男性と変化した小さなトヨタヴィッツの大きな工夫とは

新型になって大きくスタイリングの方向性を変えた Vitz ですが、今回は余り知られていないボディ構造上の工夫をご紹介しましょう。

初代(女性的)→2代目(中性的)→3代目(男性的)と変貌してきたボディ・デザインですが、3代目でイカつくなったフロントマスクに次いで大きく変化したのがCピラーと呼ばれる部分。

「逆スラント」意匠と呼ばれる物で、Cピラー(柱)が通常とは逆傾斜になっています。 それ自体は他車(スイフトなど)でもよく採用される手法なので、別にどうこう言う話でもありませんが、 実はここに大きな設計上の工夫が採り入れられているのです。

その工夫とはまず下の画像を御覧下さい。 2代目モデルでは、リアドアガラスがディビジョンバーと呼ばれるパーツで2分割されています。 その理由は ↓ のようにガラスを降ろした際に赤丸印の部分でガラスがドアから飛び出してしまって、設計上成り立たないからなのです。

そこで従来は止む無く,ドアガラスを分割して小さな固定ガラスを残して成立させていました。

ところが3代目では下の画像のように、リアドアガラスが一枚物となっています。  それが可能になった一因はCピラーのデザインを逆スラント化した事でガラス下端がドアを突き破る事無く、ガラスを下まで降ろす事ができるようになったから。

但し、それだけではまだ成立条件不足で、リアホイールハウスと呼ばれるアーチ状の部分をできるだけ後方へ下げる必要が有ります。  これについてはエクステリア全体のバランスにも大きく影響する為、デザイナーと設計者間の度重なる調整で初めて実現できる物なのです。

そして、それによる効能は意外に大きく、ガラスが一枚物にできる事で、部品点数の削減や生産性の向上に繋がり、それがコスト低減に繋がって、最終的には車両販売価格の低減に繋がる為、この車を購入するユーザーにとっても嬉しさとなって現れる事に。

如何ですか?  車両開発陣はユーザーが見過ごしがちな所でも結構、創意工夫を実践しているという話題でした。

http://toyota.jp/vitz/index.html

(Avanti Yasunori )

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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