事故やトラブルの際、代替の移動費や宿泊代も保険で補償される?【保険/車検のミニ知識】

●事故だけでなく、クルマで起きた問題を様々な形で解決してくれる自動車保険

クルマを使った楽しい外出で事故に遭い、クルマが自走できなくなってしまったら大変です。旅が台無しになってしまうだけでなく、帰宅するための代わりの交通費用や、臨時の宿泊費用、もしくはキャンセル費用などの出費もかさんできます。

このような事態をも助けてくれるのが自動車保険です。今回は万一の事故の際、役に立つ保険の補償やサービスを紹介します。

・代替交通手段の費用を補填してくれる

外出先で予期せぬ事故に巻き込まれ、クルマが走行不能になって移動することができなくなってしまった場合は、他の交通手段で移動することになります。

そのような時は、自動車保険の「代替交通費補償サービス」を利用し、帰宅や目的地に向かうことができます。

事故
事故や故障でマイカーが動かなくなり、レッカー移動を余儀なくされた場合には、自動車保険会社へ連絡し、対応可能かどうか確認しましょう。

代替交通費保証サービスは、事故や故障などのトラブルで走行することができなくなり、レッカー車などで運搬された場合に限り、保険会社が代替交通手段を利用した費用を補填してくれます。

ガス欠、パンク、バッテリー上がりといった軽微なトラブルは保証対象外となりますが、ロードサービススタッフが現場に急行して応急処置を行い、ガス欠の場合はガソリンまたは軽油を10リットルまで届けてくれるサービスなどが用意されています。

事故現場からの移動手段として利用できる公共の交通機関は、タクシー、高速バス、電車、新幹線(グリーン車を除く)、飛行機(エコノミークラスが対象)、船舶(普通客室が対象)などで、事故現場から自宅または目的地まで、最も適切な方法と経路の移動手段となります。

保険会社によっては事故現場からレンタカー(契約車両と同クラス)で移動するサービスを提供するケースもあります。

事故やクルマのトラブルが起きたら、保険会社に事故後の対処や代わりの交通手段について相談しましょう。

・深夜で交通手段がなく、帰宅が困難な場合には

事故発生の時間帯や事故現場によっては、その日のうちに帰宅することや目的地に向かうことができず、予定外の宿泊費用が必要になることがあります。

その場合は、事故現場からレッカー車などで運搬されることが条件になりますが、走行不能になった場所から最寄りのホテル(ビジネスホテルクラス)に宿泊した費用を、保険会社が補填してくれます。

事故を起こした際に、クルマに同乗していた全員分の宿泊費用も含まれます。ただし宿泊費用とは、客室料のみの負担となり飲食代、電話代、マッサージなどは自己負担になります。

ペットが同乗していた場合は、ペットも補償に含む保険会社もあります。ペットを一緒にホテルに宿泊させることを断られた場合に、ペットホテルなどの宿泊費用およびペットホテルまでの交通費を補填します。

また、ペットをペットホテルやシッターに預けて出掛けている時に事故に遭ってしまい、当日中に迎えに行くことができなくなってペットホテルやシッターの延長料金や追加料金が発生した場合も対象になります。

ペットホテル
同乗の人だけでなく、ペットまでも対象としてくれる自動車保険。家族の一員であるペットも安心の補償です。

ホテルに宿泊することになった場合は、やむを得ず様々な予約などをキャンセルすることになります。このように交通事故によって発生した損害を保険会社が補償してくれることがあります。

旅行予約、ホテルなどの宿泊施設、航空機などの旅客輸送サービスなどが対象になりキャンセル費用を総額50,000円まで補償してくれます。

自動車保険は、帰宅することができなくても同乗者全員が安心して過ごせる環境を整えてくれ、キャンセル費用もカバーしてくれるのです。

・クルマの修理から完了まで

クルマを事故現場からレッカー車などで修理工場に運搬し修理を行なう際、損傷の程度によっては日数が長くなることがあります。

このような場合に毎日クルマを利用する方が困らないように、保険会社が指定した修理工場で修理期間中につき無料で代車を提供してくれるケースがあります。

代車の燃料代や高速道路の利用料金などはサービスに含まれません。クルマの修理が完了したら修理後車両搬送サービスまたは引き取り費用サービスのどちらかを利用することができます。

修理後車両搬送サービスは、契約者の指定先まで積載車などで運搬してくれます。引取り費用サービスは、契約者が指定修理工場まで引き取りに行く当日1名分の片道の公共交通機関による交通費を負担します。

修理後車両搬送サービスは搬送日の指定ができないため、都合が悪い場合は公共交通機関を利用しクルマを引き取りに行きましょう。各保険会社により負担する限度額が異なることがあるため、詳しくは加入されている保険会社に確認してみましょう。

保険証券
自分の契約内容や、保険会社により同様の名前でも補償内容が若干ずつ異なるケースがあります。どういった補償を利用できるのかを、しっかり確認しておくことが重要です。

・まとめ

今回紹介したサービスは、自動車保険の中の様々な特約に付保されていることが多いです。事故やトラブルで困った時に、しっかりとしたサポートを受けるために、保険契約内容で、どういった特約があり、何が付保されているのかを確認しておきましょう。

不測の事態に備えて、契約している保険会社が提供するロードサービスや補償の内容を把握しておくことで、遠方や旅行先での事故やトラブルの際に役に立つでしょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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