【SUPER GT 2019】富士500kmの予選、長距離レースを見据えたModulo陣営2台の戦いぶり (PR)

5月3日に行われた「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」の公式予選。Moduloの2台はいかに戦ったのでしょうか?

GT300クラスは今年から予選Q1の上位16台がQ2へ進めることとなった。34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3はQ1突破を道上龍選手に託します。

昨年よりQ2進出台数が増えたとはいえ、午前中のフリー走行を見れば各チームともタイムアップを果たしていることからある程度は速いタイムを出しておかなければならないところ。しかし決勝レースのスタートには予選で使用したタイヤを使わねばならず、万が一Q1敗退した場合はこの予選Q1で使用したタイヤを決勝スタート時に使用。

またQ2に進出した場合でも抽選でQ1かQ2に使用したタイヤのどちらかを使うためにQ1のタイヤはなるべく温存しておきたいところ。そのバランスがQ1担当のドライバーには求められるのです。

15分の予選Q1で早々に1分37秒357を出した道上選手。残り時間5分になるまでにはピットに戻りQ2担当の大津弘樹選手らとミーティングを始めます。

その間もライバルはタイムを更新し予選順位は次々と塗り替えられていきます。しかしModulo KENWOOD NSX GT3陣営はお構いなしでQ2へ向けての準備を進めていきます。

タイヤチョイスは言うに及ばずリアウイングの角度も調整。この時の状況を道上選手は「Q1からのフィードバックでもっと最高速を伸ばしたほうがいいと考えてリアウイングを寝かす方向に調整しました」と語ります。

そのセッティングの間も順位は変動しましたが最終的にQ1の順位は14位で見事Q1突破。タイヤを温存しながらも見事にQ2に駒を進めることになりました。これについて道上選手は「500kmのレース距離で義務ピットインが2回だとスティントが長くなりがちですからスタートタイヤのライフは長いほうがいい」と語っています。

そして臨んだQ2。ドライブを担当するのは大津選手。チョイスしたタイヤは路面温度に対しては固めのものということです。

決勝スタート時に使いたいタイヤということでライフの長い固めのタイヤをチョイスしたようですが、その分十分に温めることが必要でアタックはQ2後半となる模様。それでもピットから飛び出す瞬間には力強さを感じます。

Q2後半にタイムアタックを始める大津選手。その走りは気迫を感じるものでタイム的にはQ2の中で5番手というもの。しかしそのままタイムアタックを続け、2周のアタックラップを披露しました。

これについて大津選手は予選後のインタビューで「最初のアタックはいい走りをできたと思ったのですが、もしかすると脱輪しているかもしれないと思いアタックを続行しました。アタックラップをもう一周できたのはハードタイヤを選択していたおかげです」と語ります。その2周目のタイムは1分36秒775。大津選手の言う通り先のアタックラップは走路外走行という判定で抹消され2周目のアタックタイムが公式記録として採用されています。

不幸中の幸いとも言えますが、諦めない心がもたらした予選順位なのではないでしょうか?

GT500の64号車 Modulo Epson NSX-GTの予選はどうだったのでしょうか。

中嶋悟総監督率いるModulo Epson NSX-GT。前戦の岡山では雨で中断になったもののポイントを獲得したことでこの富士500kmではなるべく前のポジションで予選を迎えたいところ。

快晴のもと行なわれた第2戦の公式予選。Modulo Nakajima RacingのQ1を担当した今年からSUPER GTのレギュラードライバーとして参戦する牧野任祐選手。

しかし思うようにたむが伸ばせず15番手のタイムでQ2進出ならずの結果となってしまいます。公式練習から思うようなフィーリングを得られず、懸命のアタックもタイムに繋がらない苦しい予選となったようです。

アタックをした牧野選手は「フリー走行から厳しくなるのではないかとは想像していました。決勝を見据えたタイヤ選択をしたということもあって結構苦しんだ部分はあると思います。その中で自分に出来ることをやって、しっかり次に繋げられるようなデータを取れたと思います」と語ります。

500kmという長いレース距離を見据えたことによる予選の戦い方は様々。決勝レースの結果を導き出す戦いはここから始まっているということがよくわかる予選だったのではないでしょうか

(写真・文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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