【ポルシェ・911タルガ4GTS試乗】オーナーを一流の粋人に仕上げるルーフシステムと圧倒的動力性能

ポルシェは初代911からタルガという独特のスタイリングを持つオープンボディを設定しています。タルガの特徴はルーフが完全に収納、または取り外すことができるタイプで、真横から見るとリヤの三角窓が残っていることが特徴です。

タルガの名称は、かつてイタリアで行われていた公道レース“タルガ・フローリオ”に由来しています。ポルシェはこのレースで1966年から1970年まで連続優勝を果たしていて、それを記念して911のオープントップ車にタルガの名称を採用したのが始まりです。

 

現行991型のタルガは初代~3代目964型までと同様にリヤウインドウがサイドまで回り込んだルーミーなスタイリングを持っていることが魅力です。タルガトップの開閉はわずか20秒で完了。その複雑な動作自体がひとつのショーのような魅力を持っています。

 

開放された状態で乗ると一般的なオープンカーよりもずっと風の巻き込みが少なく、快適なドライビングが楽しめます。サイドウインドウをクローズすればさらに快適性は向上。髪の毛の長い女性を助手席に乗せても、許してくれそうな空間が手に入ります。

運動性能はポルシェそのもの。搭載されるエンジンはもちろん水平対向の6気筒。排気量は3リットルで最高出力はじつに450馬力と強力。試乗車に組み合わされていたミッションはPDKと言われるデュアルクラッチ式のATで、もちろんマニュアル操作も可能なタイプです。

GT4の名前からもわかるように駆動方式は4WDで、走り始めるとポルシェらしい力強い加速と、正確なハンドリング、そしてまるでタイヤから爪が飛び出して路面をつかむような強力なブレーキングが楽しめます。

スタイリッシュなオープンボディを持ちながら、911のスポーティさを存分に満喫できるポルシェ911タルガ4GTSは、スポーツカーに求められる多くの魅力が凝縮されたモデルと言えます。

(文:諸星陽一/写真:小林和久)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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