LEXUS LC登場! レクサスがプレミアムクーペ市場に挑む意味は?

レクサスは2017年3月16日、新型のラグジュアリークーペ「LC」を発表しました。

 

発表会が開催されたのは東京・お台場のヒルトン東京お台場。発表会場へ向かうエントランスはホワイト基調の明るい通路となっていて、その先には奇才リュック・ベッソン監督が手がける最新作“VALERIAN AND THE CITY OF A THOUSAND PLANETS”に登場する一人乗りの宇宙船“SKYJET”のモデルが飾られ、なにやら特別な雰囲気に包まれていました。

会場に入ると一転、会場内は照明が落とされ、レクサスのブランドイメージビデオが流され、プレミアムな雰囲気にあふれていました。ビデが終了するとレクサス・インターナショナルの福市德雄プレジデントによるウェルカムスピーチが行われ、ラグジュアリーという概念の変化などの話題を含むブランドシフトプレゼンテーションが語られました。

その後、舞台横に設けられていた大きな扉が開くと、4台のレクサスLCが訪れた報道陣の前に現れました。この4台のレクサスLCの前に最初に立ったのは佐藤恒治CEで、コンセプトカー「LF-LC」を具現化したモデルが今回のLCであることなどが語られました。続いて森忠雄プロジェクトチーフデザイナーから、デザインについてのスピーチが行われました。

 

レクサスLCは新しく設計されたGL-Aプラットフォームを用いて作られたモデルです。ボディは広範囲にわたり高張力鋼板が使われているほか、アルミ部材やカーボン部材も用いられています。サスペンションは前後とも新開発のマルチリンク式で、タイヤは21インチもしくは20インチを履きます。いずれのサイズもランフラットタイヤとなり、スペアタイヤは省略されています。

  

パワーユニットは2種類設定されています。いずれもフロントミッドシップに搭載されます。LC500は自然吸気の5リットルV型8気筒で477馬力、540Nmのスペックを持ちます。このエンジンには新開発の10速ATが組み合わされます。もう一方のLC500hは車名からも想像できるようにハイブリッド車で、299馬力、300Nmの3.5リットルV6エンジンに180馬力、300Nmのモーターが組み合わされたものを採用しています。LC500hのミッションはマルチステージハイブリッドトランスミッションと呼ばれる電気式CVTで、10速相当のステップ制御も行われます。

レクサスLCは愛知県の元町工場内に設置された専用の製造ラインで製作されます。この製作ラインは床面や天井を白一色とするなど、従来の製造ラインとは異なる設計が行われています。

5リットル自然吸気モデルのLC500は標準タイプとルーフがカーボン部材ではなくガラスパノラマルーフなどにしたLパッケージが1300万円、トルセンLSDや可変ギヤステアリング、21インチタイヤなどを採用するSパッケージが1400万円という価格設定です。ハイブリッドのLC500hもグレード展開は同様で、装備差もほぼ同様ですが、価格は標準モデルとLパッケージが1350万円、Sパッケージが1450万円と50万円高の価格設定となっています。ただし、LC500hはエコカー減税の対象となり、40万円強(グレードによって異なる)の各種税金が優遇されます。

1989年にLEXUS LS(日本名セルシオ)で世界の高級車と肩を並べるブランドとして登場したレクサスブランド。そこから日本車が高級車でも世界に認められることになったと言えます。今回、1000万円を大きく上まわるラグジュアリークーペのカテゴリーに日本のクルマが参入したのことは、レクサスにとっても、日本自動車史にとっても重要なマイルストーンとなることでしょう。

(諸星 陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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