ガソリン価格の謎。高くなったり安くなったりを繰り返すのはナゼ?

本格的な盛夏を迎えつつある今日この頃、夏休みに合わせるかのようにガソリン価格が安くなったのはうれしい限りですね。では、なぜガソリンは安くなったのでしょう? それは簡単、ガソリンの元となる原油価格が4月ごろから下がり続けているからです。

2010年1月からの原油価格チャート
2010年1月からの原油価格チャート

とはいえ、今年の春先にはレギュラーガソリンが160円/L前後まで高騰したことを思うと、いつまた突然値上がりに転じるのか気が気じゃありません。どうしてガソリンの価格は急に上がったり下がったりするのでしょう。それは、ガソリンや軽油、灯油など石油製品の元となる原油の価格は「政治」と「経済」という2つの要素に大きく影響されるからです。

具体的には、石油製品の価格を決めるのは主に原油価格と為替レートです。2012年春、突然ガソリン価格が急騰したのは原油価格がハネ上がったためで、その背景にはイランの核開発疑惑にまつわる政情不安があります。なにしろイランはOPEC加盟国の中ではサウジアラビアに次ぐ原油生産量を誇る世界有数の石油大国です。その原油が経済制裁により調達できなくなるんだから、値上がりするのも当然。

一方、日本国内の為替レートは若干の振れ幅はあるものの円高基調が続いています。このあたり、原油価格と為替レートの関係は上のチャートを見ればよくわかるでしょう。円高の流れが緩やかなのに対して原油価格は大きく変化しており、それに伴いガソリン価格も上がっています。また、ここ数年円高が続いているにもかかわらず、ガソリン価格が高止まり傾向だった理由も原油高により説明がつきますね。1バレル(約159L)あたり$100を超える取引相場は、かなり高いレートといわざるを得ません。

2012年夏現在、原油価格が下がっているのは欧州危機を始めとして世界経済が停滞、減速する恐れがあるためといわれています。どうして景気が悪くなると原油の価格も下がるのかといえば、経済活動が低下するためエネルギーの需要も減るからです。しかし一方でイラン問題という火種もくすぶり続けているうえに、円安の流れが出てくれば原油の調達コストも上がり、ガソリンがいつまた値上がりするかは予断を許さないところです。

(まるほ商会)