マツダは、環境性能と走行性能を飛躍的に向上させるという次世代技術コンセプト「SKYACTIV(スカイアクティブ)」を掲げています。
「ハイブリッドでもない普通のガソリン・エンジンで30km/lもの省燃費を実現する」と発表したものですから、当然のように業界内で大きな注目を集めました。そして6月末、SKYACTIVテクノロジーの最初の搭載モデルとして、マイナーチェンジを行った新しいデミオが発売されたのです。
そんな話題のデミオですが、先日、箱根で開催された試乗会へ僕も参加することができました。会場には旧型モデルも用意され、箱根のワインディングでじっくりと新旧モデルを乗り比べることができたのです。
試乗の印象から先に述べますと、「見ため以上に内容は変わっていた」というものでした。
しかし、その変化、実のところSKYACTIVとは、あまり関係のないものなんですね。ざっくりと言えば、新しいデミオのSKYACTIVテクノロジーとは、新開発された燃費の非常によいエンジンのこと。しかし! 燃費性能の向上という部分は箱根のワインディングをちょっと走っただけでは、なかなか分かるものではありません。
その変化よりも、大きな変更が新しいデミオには施されていたのです。それが、昨年に投入された新型プレマシーから採用する「統一感あるドライビングフィール」です。新しいデミオは、走り味が旧型とは大きく変化していたのです。
「走る歓び」をブランドイメージに掲げるマツダは、スポーティな走りにこだわっています。しかし、「スポーティな走り」とは、どんなもの? という問いの答えはひとつではありません。考え方によって、その演出はさまざまなものになります。
そして、これまでのマツダは「キビキビとした俊敏な動き」という演出を好んで使ってきました。ハンドルを切ってゆくと、スパッとクルマの向きが変わるような味付けです。過去のデミオはそうしたものであり、それによって「デミオの走りはスポーティ」という評価も得てきました。
その走りの味付けを、マツダは新しいプレマシーから変更したのです。ドライバーの操作に対してリニアにクルマが動く。そのコントロール性を重視しました。逆に言えば、ドライバーがスポーティな操作をしなければ、クルマはそういう動きをしません。ドライバーと人との当たり前の関係のように思うかも知れませんが、それを実現するのには丁寧な作り込みが必要になります。地味なうえ、面倒な作業なのです。
そんな新しいデミオの走り味の変化を新旧モデルで比較走行させることで、よく理解できたというわけです。
現在のマツダは、優れた燃費性能を実現するSKYACTIVテクノロジーにスポットライトがあたっているのですが、その影では、走り味という地味ですが、「走る歓び」を大切にするマツダの重要な部分の変化が進んでいるのです。
【画像や動画がすべて見られない方は】https://clicccar.com/2011/07/24/44918
デミオの公式サイトはこちら>>> http://www.demio.mazda.co.jp/
<鈴木ケンイチ>