パキパキ過ぎず普段使いもOKなアルピーヌA110Sに、大井貴之のLOVE度急増!

■アルピーヌA110のスポーツバージョン『S』ってどんなもん? 大井貴之が乗ってみた!

●究極過ぎない『S』に好感度アップ!

ベースとなる21世紀のアルピーヌA110には、「スポーツ派のピュア」と「プレミアム派のリネージ」の2バージョンが用意されています。その違いはシートがリクライニング&上下調整するかどうか(ピュアは漢のフルバケットシート)、ホイールのリム幅(ピュア7.5J/リネージ7J)、トレッド(前後:ピュア1555/1550mm・リネージ1570/1565mm)、車重(ピュア1110kg/リネージ1130kg)…な感じ。

A110Sフロントビュー
美しいブルーアルピーヌメタリック。ベース車より4mmダウンです。

この2バージョンにプラス、よりスポーティバージョン「アルピーヌA110S」が日本初お目見えしたのは東京モーターショー2019。その後、ボジョレーヌーヴォー解禁日と同じ11月21日に正式発表されました。

今回のテスター、クルマ系YouTubeチャンネル「クルマで遊ぼう! 大井貴之のSports Driving Labo.」のYouTubeR大井貴之さんは、ベースのピュアをワインディングでテストをしたことがあるそうで、「オレの中で今、一番欲しいクルマ! A110ピュアにLOVEなの~!」(大井)なのだとか。

じゃ、その大井LOVE!なA110ピュアに、よりスポーティ度がプラスされたA110Sを筑波サーキット2000でテストしましょ!

大井貴之さん
テスターはYouTubeRの祝!60歳還暦、大井貴之さん。今、一番欲しいクルマがA110なのです!

●パワーはベース車比40psアップ。でもその差は…!?

YouTube動画を見る前に、ベース車とSの違いをおさらいしましょう。

カーボンルーフはベース車とSとの見た目一番の違いです。「元々アルミボディだからね、そんなに変わらないカモ?」(大井)

A110Sのリヤビュー
派手なウイング系は一切、身に着けていないA110S。それがまたカッコイイのです!

フットワークはスプリングレート、アンチロールバー、ダンパーなどがファインチューンされ、全体で約1.5倍のレートアップが図られました。「乗ってみないとね~」(大井)

Sのホイールは特別色のグリトネールマットと他(白系のブランイリゼメタリック/ブルーアルピーヌメタリック)ではデザインが異なります。なぜ?「デザイナーの拘り!」だそうです。

A110Sのホイール
ベースのA110から幅のみワンサイズ大きいサイズ(F:215/40-18/R:245/40-18)を履くA110S。

パワーはブースト圧アップなどにより40psアップされています。「トルクは同じでパワーもピークでのアップだからね。ン~その辺はどーだろなぁ」(大井)。

●とにかくオレはA110を愛してます! ピュアかSか、カラーは何にしようかな~

「とにかく今、クルマの値段がどんどん高くなっている中で、800万円台で買えるピュアスポーツカーっていうのは貴重だよね。
ライバルっぽいアルファロメオの4Cやロータス・エリーゼなどに比べ、A110ってユル~い感じじゃない? 4Cやエリーゼはスパルタンで超スポーツしているような感じ。でもA110はちゃんと内装があるし、普通も乗れる仕様になっているのがいいよね。それでも軽やかさや運動性能は何の犠牲もしていない。まぁ荷物は積めないけど!

A110ピュア
A110の試乗車は左ハンドルのリネージ。「左ハンドルってのが妙にしっくりくるねぇ!」

オレは今、欲しいクルマの1台がA110、しかもトップクラスに! でもさ、ベースのピュアで十分だと思ってる。リクライニングしないから敬遠しがちなフルバケだけど、乗り降りも大変じゃない『コンフォート系フルバケット』…なんじゃそりゃ?って感じだけど!! そもそもピュア以上のスポーツバージョン『S』って要るの?って気持ちなんだよね」(大井)。

●予想以上にイイじゃないの『S』!

「Sの第一印象は、妙なスパルタンさがなく、ガチガチなサスペンションではなかったのが好印象。
とはいえやっぱり固いので、ミニサーキットレベルだと…ウ~ンどうだろ? 実際、コーナリングでは強烈なトラクションがありフロントが負ける。一言でいえばアンダーが強い! Sはピュアとは走り方を変えて、トラクション重視の走りをすればSの進化が発揮されるかな? でもオレはやっぱりSじゃなくてピュアが良いかな~? オレはワインディング重視だから」(大井)。

A110Sのシート
ピュアもSも、シートはサベルト製・漢のフルバケ!

今回は、A110とA110Sを交互で乗り換えての、完全乗り比べが出来る試乗。違いを見るのは最適な方法です。

●どっちが偉いとかじゃなく、走るステージで選ぶ…これが一番!

全試乗を終え、A110とA110S、どーでしたか?

「やっぱりオレにはピュアがいい。選ぶ基準は走るステージで選びましょうね!ってこと。
メーカーからこういうスポーツバージョンが出てありがちなのは、『サーキット専用のバリバリ体育会系ムキムキです!』みたいな場合が多いんだけど、でも、このA110のSは、普段乗り、ワインディングで乗ってみたいなって思うくらい、イヤな乗り心地のダンパーのつっぱってる感じとかがなかったんだよね。なのでワインディングもけっこう楽しめるんじゃないの?って気がしました。

A110Sの走り
A110Sはサーキット専用!?っていう先入観があったけど、でもワインディングでもけっこうイケルんじゃない?

サーキットは走らずワインディングで遊びます、っていう人ならベースのピュアがいい。
でも、たまにはサーキットも走りたいよね!ってなると、サーキットの運転はピュアだとバネ上の動きが大きく、それを運転で納めなきゃいけないので難しくなるからね。

エンジン性能曲線
A110Sのエンジン性能曲線。

ベースとSの40psのパワー差はあんまりない感じ? 40psの差があっても結局トルクは上のほうに行かないと変わらない。裏ストレートでフル加速して最終コーナーギリ手前の最高速は、ベースで176km/h、Sは180km/h。この4km/hの差をやっぱS速いんだ!って思うか、40ps上がっているのにそんなもんか!って思うかどうか。
実際問題、0-100km/h加速はコンマ1秒しか違わない。まさにそういう違い」(大井)。

フロントのラゲッジスペース
フロントのラゲッジスペースは、とにかく浅い。100L容量です。
リヤのラゲッジスペース
リヤのラゲッジスペースは、とにかく熱い!? 容量は96Lね。

締め上げられたハンドリングやフットワークは?

「ハンドリングの差もどこで遊ぶの?っていうところ。固めの足でハンドル切った通りに動くのが好きな人と、ペダルとの連携でクルマを動かすのが好きな人、色々いると思うんだよね。
ワインディングをそんなにハイペースじゃなくも、スイスイと気持ちよく心地よくロールを感じながら、そのロールをコントロールしながら走らせる面白さ、気持ちよさっていうのはベースのほうが上。
Sはハイスピードになるとそんなこと言ってられなくなり、勝手にロールしきっちゃったりすると厄介なことになったりするので!」(大井)

Sは街中ではハード過ぎる感じなんですか?

「サーキットのピットロードを走ると大体、街中なんかは走れない固さかどうかっていうのが分かるんだけど、Sはイヤなパキパキした乗り心地がなかったのでワインディングでも乗ってみたいという気持ちになったね。あとは制限速度があるかどうか…?は書いちゃダメよ!」(大井)

大井貴之さん
いや~やっぱりイイゾ、A110S!

※追記いたします(2020年3月4日16:23)

100%映像化と書いておきながら用意されていた2台の試乗車にはハンドリングに差があったことを伝えていませんでした。話が複雑になってしまうという理由です。

今回の試乗会用に用意されていたのは左ハンドルのLINEAGE(ガンメタ)と右ハンドルのPURE(白)、そしてA110Sは白と青という4台。LINEAGEとPUREのハンドリングに差は感じなかったが、2台のSには明確な差がありました。

全開走行の映像に使用しているのは青のA110Sですが、最初に乗った白のA110Sは…。アンダーステアがきつめ。トラクションが強烈!という表現も出来ますが、空冷時代のポルシェ911的でパワーONと同時にガッツリトラクションが掛かりフロントが負けます。ダンロップコーナー先の左80Rでは、アンダーステアが強烈でアクセルを踏みきれないレベルでした。

A110Sのフットワーク
A110Sのフットワーク分解図。

しかし、デジスパイスを装着して走行した2度目の試乗時に乗った青のA110Sのバランスは上々。多分、白のA110Sはリヤのトーインがきつかったのではないか?というフィーリング。

アライメントにどのくらいの差があったのかは不明なので細かいことは言えませんが、2台とも試乗会用に整備されているクルマだったと考えると、結構アライメントがシビアというか、感度の良いクルマだということでしょう。

オーナーになったら、アライメントチューニングを楽しんでください!(大井 貴之)

比較諸元表
A110SとA110ピュア、リネージの比較諸元表。

数々の箱レースマシンからチューニングカー、スーパーカーなども乗りなれている大井貴之さんが、今狙っているのがA110。そのハイスペックバージョンであるA110Sも気になっちゃった感じでした。

その興奮度は動画をじっくり、ドーゾ!

(テスター:大井 貴之/画像:平田 勝/動画:クルマで遊ぼう! 大井貴之のSports Driving Labo. /文:永光 やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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