東京モーターショーは大きく2つの日程に分けられます。1つは、あらかじめ事務局の登録審査を経るメディア向けの「プレスデー」。もう1つは、チケットを購入して入場する「一般公開日」です。実は内容的に随分違いがありるので、プレスデーと一般公開日の相違について、順次紹介していきたいと思います。
まず最初は、プレスデー最大の目玉である「プレスブリーフィング」について。これは各メーカーの社長や役員といったVIP が、自社ブースのステージで将来ビジョンや経営戦略、コンセプトカーの狙い等について説明するもので、どのメーカーもプレゼン内容が濃く、非常に見応えがあります。
またタイムスケジュールが非常にタイトなのも特徴で、隣接するブースからブースへバトンを渡していくように、15分刻みで行われていきます。例えばプレスデー初日の西1ホールでは8時30分~8時45分がトヨタ、8時45分~9時までがダイハツ、9時~9時15分がトヨタ車体の順番で進行。この日は全部で30社が、続けざまに実施しました。
なにしろ一社あたりの持ち時間は、わずか15分。しかも次への移動時間も含んだ時間なので、実際のプレゼン時間は10数分しかありません。でもそんな短時間でも、各メーカーの個性や戦略、登壇するVIPの熱意やキャラクターが色濃く現れてくるのです。
例えばプレスデー初日の朝一番に実施したトヨタでは、豊田章男社長ではなくルロワ副社長が登壇しました。正直言って詰めかけたメディアの誰もが、「嘘でしょ~?」と期待を削がれたと思います。
そんな怪訝そうなメディアに対し、ルロワ副社長は「フランス人が、東京モーターショーでトヨタのスピーカー?」「そんなハズはない!」「いや……安心してください、合ってますよ」とユーモアたっぷりにスピーチ。
冒頭のほんの1分間で、会場の「不信」を「関心」に変換して見せました。内容自体も素晴らしかったですが、こんな超一流のプレゼンを目の当たりにできるのも、プレスデーならではといえそうです。