80年代初期のOPTIONから、その後も常に谷田部最高速に挑戦し続けていたRSヤマモト。ニッサン車チューンでは誰もが認める巨匠としてチューナー仲間からも慕われ、また若きチューナーさんたちに多大なる影響を与えた名チューナーでもあります。
2011年3月27日、惜しくも急逝されたのがつい最近のようにも感じますが、もう6年・・・2017年の今年は七回忌です。山本さんのいなくなったチューニング業界は、なんだか寂しいなぁ・・・なんて、あらためて山本さんのチューニング魂や人柄を懐かしく思い出しています。
で、RSヤマモトのOPT初登場は、82年5月号の筑波サーキット・セミ耐久レース。そして、初谷田部最高速挑戦は82年9月号、スカイライン・ジャパンとフェアレディZを持ち込みました。その模様と、その後83年1月号に掲載された「新・必殺改造人 山本豊史」を見てみましょう。
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スカイラインGT・3Lターボ&フェアレディZ・3Lターボ by RSヤマモト
スカイライン 244.48km/h
フェアレディZ —km/h
250km/hオーバーの実力だが、惜しくも計測ならず
RSヤマモトは、関東のL型チューンで最近メキメキと頭角を現している。しかも、比較的早くからターボチャージを手掛けていることで有名。HKSとの結び付きも深めつつある。今回のチャレンジは、スカGジャパンとニューZの2台。いずれもHKSターボを採用しているが、実力本位のショップだけに、高出力化とセッティングのやりやすいソレックス44キャブを使用している。
L型6気筒は、ボア×ストローク89×79mmの2947cc。両車の大きな仕様差はターボユニットで、HKSのエアリサーチ製T04だが、ニューZのほうが排気側を拡大しているのか、より高回転型にセッティングしてある。これはターボ圧の設定にも現れ、スカGは1.0kg/cm2、ニューZは1.3kg/cm2。インタークーラーはHKS水冷式を装備。この性能追求型のキャブターボの実力は興味深い。特に、スカGターボのほうは最近、248.28km/hの記録を持っているのだ。
まずはスカG。加速レスポンスは低中速からいい。キャブチューンの良さでもある。3500rpmあたりでフルブーストがかかる。が、最高速は5速5700rpmでサチュレートした。2周ともピタリと239.2km/h。2回めはガスを薄くするが、それでも5900rpm、244.48km/hと、自己記録は更新できない。
続いてニューZ。やはりターボフィーリングは高速域重視で、4000rpm以下はややカッたるいが、4000rpm以上でブースト計の針がピーンと1.0kg/cm2の目盛りを振り切る。そして、確実にエンジン回転が上昇していく。
スカG、ニューZとも、ミッションはレパード用5速(0.752)とハイギヤードだが、ニューZのほうが高速域のノビがある。直線路でタコメーターは5速6100rpmを指した。楽に250km/hオーバーだ。が、その瞬間、ズバッとタービンのパイプが外れた。やはり1.3kg/cm2のブーストは高過ぎたようだ。2回めの走行も、同じトラブルで計測できず。しかし、エンジンは異常ない。実力的には予選通過である。さすがRSヤマモト、恐るべし!という印象だった。
[OPTION1982年9月号より]