熱き昭和の最高速対決! チューンドカーVS.ル・マン マシン、どっちが速いか比べてみた その1.【OPTION 1986年8月号より】

■谷田部最高速を彩るチューンドカー VS. サルテサーキット名物、6kmの超ロングストレート、ユーノディエールを疾走する1986年ル・マン エントリーマシンで最高速対決!

●当時のル・マンはレーシングマシンたちによる最高速大会でもあった!?

6ヵ月ぶり!? 超ご無沙汰過ぎて謝るしかありません…お待たせしましたゴメンナサイ!

clicccar名物【Play Back The OPTION】とは、1981年に創刊されたチューニングカー雑誌『OPTION(オプション)』の、過激楽しいバックナンバーを厳選しお送りしているコーナーです。

久々になってしまった今回は、1986年8月号に掲載された『最高速図鑑』。当時の最高速テストコース、日本自動車研究所の高速周回路:通称・谷田部で記録されたチューニングカーの記録と、1986年ル・マンを走るレーシングカーの最高速を比べてみた記事です。

現在はユーノディエールも2ヵ所にシケインができ分割されてしまいましたが(1990年)、当時は約6kmものストレートだったため、300km/hオーバー当たり前の最高速区間として有名でした。しかもこのユーノディエールは公道区間。何度もル・マン参戦をしていたトラストレーシング監督・大川カンブ光一さん(当時)によると、「まんま公道なのでワダチがあったりカマボコ状だったりするから超あぶね~!だったよ」とのこと。

では早速、当時の記事をドーゾ!

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【最高速大図鑑】

最高速はチューニングポテンシャルを如実に証明する
谷田部最高速 VS. ユーノディエール・ストレート最高速

1986年8月号
1986年8月号 最高速図鑑

《国内チューニングカー》
OPT創刊以来続いている最高速チャレンジ。すべて谷田部の日本自動車研究所でテストされている。谷田部の場合、最高速データが生まれるかどうかはバンクでのスピードが鍵を握っている。バンクを抜けてから加速したとしても、いかにハイパワー化したターボ車でもスピードは伸びない。ストリートカーベースのマシンとしては、どれだけバンク内のスピードを高めるかがポイントになるのだ。

バンクの設計速度210km/hを100km/hもオーバーするのだから、ドライバーに不安を持たせるクルマは、まず良いデータは得られない。シビアな足まわりが要求されるのだ。逆に言えば、多少エンジンパワーが劣っていても、足まわりがしっかりしていれば好データが得られることもある。

そしてパワーに匹敵するほど重要なのが空力だ。しかしストリートマシンではボディ改造も限られる。やはり、トータルバランスに優れたマシンでないと最高速チャレンジャーの資格はない。

《ル・マン仕様レーシングカー》
1986年ル・マンに挑戦した日本勢の成績といえば、ハッキリいってイマイチ。はやり世界の壁はとても厚かったということになるかもしれない。

サルテサーキットの中で、6kmものストレートを持つユーノディエールのデータで、耐久レーシングカーの実力を拝ませてもらおう。もちろん、レーシングカーは最高速用にセッティングされたものではなく、走る、止まる、曲がるの3要素の次元の高さと耐久性に注目だ。

今回は谷田部のストレート、ル・マンのストレートで記録された最高速を大比較。それにしたって国産チューンドカーの速さって凄いゼ!

1986年8月号
おや~、オイル吹いた!?

●現在、日本最速!(当時)

HKS千葉 フェアレディZ 3Lツインターボ
日本最速 313.31km/h

HKS千葉フェアレディZ
当時、国内チューンドカー最速!

現在、国内最高速ランキングNo.1の座を守っているのがこのマシン。L28改3Lエンジンは、ギャレット製T04タービンを2コ装着。巨大な4層インタークーラーやソレックス44φなどで最高出力500ps以上と強力。最大ブーストは1.2kg/cm2までOK。

●ニューレコード 374km/h 最速!!

ヨースト・レーシング タカQポルシェ956

ヨースト・レーシング
タカQポルシェ、374km/hこの日のル・マン最速!

翼をつけなくてもブッ飛んでいきそうな、374km/hをマークしたヨースト・レーシングの956であります。1984年、85年と総合で2連勝したこのポルシェは、85年も372km/hの最速を記録したが、今年86年は374km/h! もちろん、コースレコードだ。

 

●ストリートの狼とはオレのことよ

スカイラインRSターボ 2.1L早川 by RS山本
275.8km/h!

RSヤマモト RSターボ
RSヤマモト・スカイラインRSターボ、275.8km/h。

FJ20エンジンを2mmボアアップ。排気量は2.1Lになっている。タービンはTD07をシングルで装着。キャブはソレックス44φを使用。ブースト1.3~1.4kg/cm2で430ps以上を発揮する。街中でも扱いやすいのが、最先端のチューンドカーだ。

 

●最高速は一日にして成らず

マツダ757 ラッキーストライク
3ローター最速は…311km/h

マツダ757ラッキーストライク
マツダ757ラッキーストライク、311km/hでロータリー最速!

ストリートにも登場する可能性があるからOPTとしても大注目の3ローターユニットを搭載したマツダ757。IMSA-GTPクラスからのエントリーで、排気量換算では3531ccになる。最高速は日本人組の#171が308km/h。外人組の#170が311km/hをマークした。

 

●294km/h!

MKモータースポーツ BMW-M1

MKモータースポーツ
MKモータースポーツ BMW-M1、294km/h.

BMWのストリートチューンも手掛ける、MKモータースポーツからエントリーしたBMW-M1だ。M66-3.5Lユニットはメカチューンだから、エントリー中チューンドカーに最も近い1台というわけだ。最高速は300km/hの壁を超えられなかったが、294km/hをマークした。

 

●さすがチューンドポルシェは速い!

ポルシェ911ミッドナイト・ターボ
298.76km/h

ミッドナイト・ポルシェ
ミッドナイト・ポルシェは298.76km/h!

国内ポルシェ最速のマシン、エアコン、ステレオなどフル装備でこのデータをマークしたのだから凄い。外観からはその速さはうかがえない。チューニングはスピードショップIMC。

 

●ロータリーパワー最速!

RE雨宮 13Bツインターボ
307.42km/h

RE雨宮13Bツインターボ
RE雨宮13Bツインターボは307.42km/hです。

ロータリーパワーと切っても切れないRE雨宮のセブンもオーバー300km/hを達成! 13Bサイドポートエンジンに低圧縮ローターをツイン装着。空力を考えたフォルムにも注目だ。

 

●アメリカンV8パワーの底力を見よ

ウエスト コルベット454
285.71km/h

ウエスト・コルベット
アメリカンV8パワーのウエスト・コルベット、285.71km/h。

1982年度最高速GPで見事285km/hのデータをたたき出し、その年のキングの座を得たマシン。エンジンはシボレーの454・LS6改のV8、7.4Lをベースにバーレイ製ピストン、カレロ製コンロッドなどのスペシャルパーツにより、500ps以上を絞り出している。

 

●ノンターボ最速!

シルクカット・TWRジャガー
356km/h

シルクカット・TWRジャガー
シルクカット・TWRジャガー。さすがの356km/hです!

ターボエンジン全盛の中で、自然吸気メカチューンのV12 5993ccユニットを積むのがTWRジャガーXJR6。予選ではポルシェに次ぐ5位のタイムをマークした。タバコメーカーのシルクカットカラーに塗られたジャガーは3台エントリーしたが。最高速は#51、#52が356km/h。#53が352km/hと安定した速さを見せた。ターボがない分は排気量でカバー!ってとこかな。

 

●関西パワーだってやります

トライアル 3LツインターボZ
307.95km/h

トライアルZ
トライアルZ、307.95km/hでした!

車体は130Z、エンジンはHKS鍛造ピストンを組み込んだ2947cc。タービンはギャレット製T04をツイン装着。キャブはSK製OER50φ。谷田部ではブースト1.1kg/cm2、最大パワーは460psだった。

 

●史上最速の4WD!

ポルシェ961
333km/h

ポルシェ961
959のレーシングモデル、ポルシェ961は333km/hのゾロ目。

ワークスポルシェから1台エントリーされた961。ポルシェ最強の4WDロードバージョン959のレーシングモデルだ。2.85Lのフラット6はツインターボが与えられてノーマルでさえも450ps、51kg/mの超ハイパワーを発生する。IMSA-GTPクラスでエントリーした背の高い961は、他のCカー群に混じりながらも、最高速は333km/hと立派。しかも総合でも7位に入賞! いやはや大物だ。

最高速図鑑
1986年8月号 最高速図鑑。
1986年8月号OPTION誌
1986年8月号のOPTION表誌がコレ。

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ってところで、次回に続く~!

[OPTION 1986年8月号より]

(Play Back The OPTION by 永光 やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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