佐川急便株式会社が、創業地である京都で宅配便の集荷・配達に3輪電気自動車(以下3輪EV)を試験導入しました。
【佐川急便】環境にやさしい3輪電気自動車を試験導入
http://www2.sagawa-exp.co.jp/newsrelease/detail/2012/1029_801.html
ベースとなったのは今年の7月7日に発表になったばかりの光岡自動車の雷駆(ライク)-T3というマイクロEV。光岡とユアサM&Bの実証試験モニタープログラムでのリース車としての導入とのことですが、佐川仕様では雨よけの屋根とフロントシールド、そして荷台をボックスタイプとして佐川側で専用設計。
京都の街中は軽自動車すら入れないような細かい道が多いので、このサイズのマイクロEVはかなり重宝されることでしょう。
ところでマイクロEVによる配送といえば、先んじて導入したセブンイレブンはトヨタ車体のコムス・デリバリータイプ。
同じボックス付のマイクロEVですが、実は両車は決定的な違いがあります。
光岡の雷駆(ライク)-T3は3輪。これは確信犯的に3輪にしてあるのです。
ハーレーなどでヘルメットを被らずに乗っている姿を見かけることがありますが、あれは3輪に改造して普通車などのナンバーを付けている「トライク」というカテゴリーでヘルメットの装着義務を回避しているのですが、雷駆(ライク)-T3はそのトライクカテゴリーで運用されているのです。
セブンイレブンが導入したコムス・デリバリーは原付四輪カテゴリーなので乗車定員1名、最大積載量30kgですが、雷駆(ライク)-T3は現状では乗車定員2名、最大積載量120kgとかなり余裕の設計。運送業者の配送業務としては圧倒的に雷駆(ライク)-T3のほうが有利。
そして軽自動車に比べると騒音や排ガスなど環境面でも有利な上に、割り切った設計のために量産されれば車両コストも桁違いに安くなる、とビジネス面でも圧倒的に有利。
騒音面で有利であるということは、配送時間を夜遅くに設定しても周囲にかける迷惑が少なく、顧客満足度の高いサービスが提供できるという面もあります。
長年原付四輪を作り続けて、そのうちのEVはヤクルトなどの配送での採用実績もある光岡ならではの「次の一手」は、さすが光岡といえる発想力。
日産のマイクロモビリティーコンセプトもそうですが、軽自動車と原付四輪の間を埋めるカテゴリーとして検討されているマイクロEVカテゴリーは電気自動車の大本命ともいえるカテゴリーだけに、今回の佐川急便の実証実験は、今後のスマートモビリティ実現に向けた取り組みとして、大きな注目が向けられています。
(北森涼介)