【珍車ハンターイモトが行く!】その3 ルノーアヴァンタイム

珍車ハンターイモトが行く!3回目となる今回取り上げるのは、比較的新し目のクルマ、ルノーアヴァンタイム。

ルノーアヴァンタイムは、同社のミニバン、ルノーエスパスⅢをベースとした乗用車で、RVではなくあくまで高級乗用車というポジションです。

製造は2001年から2003年と期間が短く、総生産台数は8557台。その製造期間の短さと、生産台数の少なさだけでも珍車の要素は十分ですが、何と言ってもそのスタイリングが珍要素満点。

ルノーでは高級乗用車、しかもクーペとして位置づけしているものの、ルックス的にはミニバンに近く、それでいて2ドアモデルと言う点で、一般ユーザーには受け入れられなかったのかもしれません。

その独創的なデザインは一部に熱狂的なファンがいるものの、一般的には奇抜なデザインとしてみられてしまい、2ドアでありながら、ミニバン並みのスペースとカブリオレの開放感というパッケージングと共に、変わったクルマとして受け止められることが多かったようです。

アヴァンタイムらしい機構として、開放的な室内空間を、さらに楽しむ工夫がピラーレスのサイドウィンドウと大型のガラスサンルーフは室内のボタン一つですべてを開け放つ事が出来るのが特徴の一つです。

パワーユニットは3.0L V6エンジンを中心に、本国仕様では2.0L 直4や2.2L ディーゼルをラインナップする等、意外と選択肢は多かったモデルです。

日本にも少ないながら、2002年よりV6 3.0Lモデルが206台が正規輸入されました。日本第1号のオーナーはなんと、元大相撲力士の曙太郎さん。

日本での販売価格は500万円で、輸入車としても価格が高めだった事も有り、日本では殆ど見かける事はありません。

乗降性を高める為とは言え、1.4mもある大きなドアは日本ではスペース的に使い勝手が悪く、ヒンジを折れ曲がる構造などを採用したものの、それでも国産の2ドアモデルと比べても占有するスペースは大きく、日本の駐車場事情にマッチしない点も見受けられました。

独創的なデザインでありながら、2ドアクーペとしてはドライブフィールはミニバンの様で、ミニバンとしては乗車定員やスペース的にもステーションワゴンと同程度という結果的にはどっちつかずのモデルになってしまった点が販売台数不振につながってしまったように感じます。

しかし、国産車では考えられないパッケージングとデザインはフランス人のお洒落でゆったりとした時間を過ごす事の出来る国民性を垣間見る事が出来たのかもしれません。

商業的には失敗に終わってしまったルノーアヴァンタイムですが、デザイン的には芸術的分野で、いまだに高い評価を受ける事が多い事も事実です。

激レアなルノーアヴァンタイム、個人的には珍車に入ると思いますが、皆さんにはどう見えますか?

(井元 貴幸)