ブーツで車を運転すると違反になる? 雪道運転では「靴の履き替え」推奨

■冬用の防寒ブーツは運転しにくい

雪道を運転するとき、どんな靴を履いていますか? 雪道の運転が苦手と感じる原因は、もしかしたら靴にあるかもしれません。

なぜ防寒靴は運転に向いていないの?
なぜ防寒靴は運転に向いていないの?

ソールが厚く、靴自体も重い防寒靴での雪道運転はいかにも運転しにくそうですよね。実際にブーツやスノーシューズなどでの運転は、車の操作に大きな影響を与えるようです。

雪道を走行する際は、面倒でも普段から使っている運転用の靴に履き替えるのがよいでしょう。防寒靴が運転に向かない理由を調べてみました。

●ブーツでの運転は違反ではないけれど…

道路交通法第70条では、安全運転の義務として『車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない』と記載されていて、これは運転時の服装や履物にも適用されます。

そのため、ペダル操作がしづらいサンダルやスリッパ、ハイヒールや厚底ブーツなどでの運転は相応しくありません。その他、都道府県ごとの条例によっても細かく運転禁止の履物が指定されています。

とはいえ、普通のブーツや長靴、スノーシューズなどでの運転は禁止されていません。ですが、これら冬用の防寒靴も運転に適した靴とは言えないようです。

●防寒靴はペダル感覚が希薄に! 踏み間違いもしやすくなる

ソールの厚い靴は、ペダル操作が困難になる
ソールの厚い靴は、ペダル操作が困難になる

ソールが厚いうえ、靴自体の重量もある防寒靴での運転は、ペダルを踏んでいる感覚が希薄になりがちで、微妙な操作が難しくなります。

雪道や凍結路面では、アクセルやブレーキをわずかに踏みすぎるだけで簡単にタイヤが滑り出してしまうので、靴の違いによるペダル感覚の鮮明さが運転のしやすさに直結すると言ってもよいでしょう。

加えて、防寒靴はスニーカーなどに比べて幅も広くつくられるので、ペダルの踏み間違いや踏み損じを起こしやすくなります。とくにソールの縁が横に張り出した形状の靴だと、アクセルペダルを戻す際にブレーキペダルの裏側に引っかかったりする恐れも。

MT車のなかでもとくにペダル間隔が狭い車では、隣のペダルも片足で一緒に踏んでしまう危険もあります。踏み間違いしにくいペダル配置になっているAT車であっても、防寒靴での運転はペダルの操作性が確実に悪化します。

●靴の違いはハンドル操作や運転疲労にも影響する

運転に適していない靴でのドライブはかなり疲れる…
運転に適していない靴でのドライブはかなり疲れる…

防寒靴による着座位置の変化と、それによるハンドルとの距離の変化も見落とせないポイントです。

ソールが厚い防寒靴は、そのぶんだけ着座位置が後ろに下がるので、ハンドル位置にも違和感が生まれます。とくに軽自動車やコンパクトカーは元々ハンドルが遠めにつくられているので、防寒靴を履くことでさらに遠く感じられることでしょう。

遠すぎるハンドル位置では、とっさに操作できなかったり、ハンドルを切り返す際の素早い操作が難しくなります。だからといって、シートリクライニングを起こした無理な姿勢では、運転時の疲労感も大きくなってしまいます。

そのほかにも防寒靴での運転は、靴自体の重さが足の疲労感につながるうえ、長丁場の運転では靴の中が蒸れやすく不快な思いをすることに。防寒靴での運転はほとんどデメリットしかありません。

雪道を運転する際は、履き替えが面倒でも普段から使っている運転靴を使うのが安全です。車内で靴を履き替えることで、靴裏に付いた雪や水分でペダルが滑るのを防止できるメリットもあります。

雪道を走る機会が少ない人ほど運転時の靴が重要と言えるでしょう。慣れない雪道に加えて、靴の違和感も加わって運転の難易度が上がります。スキーやスノーボードなどで降雪地帯に向かうときは、慣れた運転用の靴を履いて運転し、防寒靴は荷物として車に積んでいき履き替えるのがよいですね。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])

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