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■日産自動車大学校の「Dr.Kプロジェクト」着々進行中
●車検を受けてるだけで安全ではありません!
今どきの国産車って、乗りっぱなしでもめったに壊れることはない。車検だって世界一厳しくてそれも2年おきにやってるんだから。
と思い込んでませんか?
ここに挙げたサンプルは、某国産ミニバンで現行のひとつ前のモデルで街でも多く見かける車種です。外観はピカピカ、ボディの艶も内装の汚れも問題になるような部分は皆無と言っていいほど。中古車屋さんに並んでいたら、一見してきれいな個体だな、と思うことでしょう。
ところがです。下回りを覗いてみると、サビだらけ。
サスペンションを支えるフレーム類、マフラーそのものやマフラーをぶら下げているステー、それに金属製燃料タンクの合わせ目部分など、錆が進行しており、そのままでは燃料漏れも考えられます。「いますぐに走り出したら危険」という状況とまでは言いませんが、このままあと数年乗ることを考えるとかなり不安だと言えます。
こちらのサンプル車両は、伊豆諸島の八丈島で使用されているもので、一般とはやや違った環境とは言えますが、錆の発生進行は島でなくても海沿いの地域や、降雪地帯などでの融雪剤の影響も考えられます。いずれにしても、進行速度はともかくですが、こうならないとは限らないし、一般の人が見ることのない「下回り」などのチェックはプロの目線で必須なんだな、と改めて考えさせられます。
さて、このような過酷なサンプルの宝庫とも言える八丈島で、日産自動車大学校は学生さんたちに、実際に使われているユーザーカーを無料で点検し、整備状態に不安があればそれをユーザーに伝えることなどを体験させています。とともに、八丈の人々にも整備の重要性や、それによる安全の確保などを知ってもらおうという試み「Dr.Kプロジェクト」が進行中です。
●着々と進行するDr.Kプロジェクト
先日、その整備チェックの舞台として使わせていただく八丈町役場で、日産自動車大学校の教員たちによるリハーサルが行われました。
リハーサルですが、そこへ来ていただいたのは実際に普段島内を走っている車両で、本物の整備士の先生がチェックを行っていました。モノによっては「こ、これは大丈夫じゃないんじゃないの?」と言われそうなレベルものも登場し、そのやりがいを実感していたようです。
大まかな流れをご説明しましょう。
1.島内で走っている車両をお持ちのかたに、八丈町役場の駐車場特設会場に車両を持ち込んでいただきます。
2.二級整備士の国家資格を取得した日産自動車大学校の3年生の学生さん(一級整備士目指してます!)が、その車両をチェックします。
3.点検項目について、不具合箇所のあるなしをお伝えして、ぜひ整備をお勧めする場合は島内の整備工場をご紹介します。
4.参加者にはウインドウォッシャー液、お菓子、ペーパークラフトなどのプレゼントを差し上げます。
実はこの「Dr.K」上記の学生さんの体験と島内車両の安全性を狙うだけではありません。
いま現在、自動車整備士は大幅な人員不足が懸念されています。少子化の影響だけでなく、自動車整備士への専門学校への入学者数は減少しています。2003年度と2021年度で比較すると、高等学校卒業者数が128万人から101万人へと21%減となったのに対し、自動車整備学校入学者数は12,394人から6,536 人へ47%減と半減近くになっているのです(全国自動車大学校・整備専門学校協会調べ)。
そこで、「モノを修理するってカッコいい」ということを次世代を担う若者に見せ、整備することは尊いことなんだというイメージを持ってもらおうという狙いもあるのです。そしてそれは、使い捨てをやめモノを大事にする、ユニットでの交換でなく壊れた部品を修理をする、というのがCO2削減やSDGsへと繋がるはずということでもあるのです。
こうして進んでいるDr.kプロジェクトは、自動車評論家の国沢光宏さんとともに、来年2月18日に本番を向かえます。
島など過酷な地域にお住まいの方はもちろんですが、そうでないかたも自分の愛車の整備状況をもう一度見直してみてはいかがでしょう。
●「Dr.Kプロジェクト」in 八丈島開催概要(予定)
・開催日時:2024年2月18日(日)10:00〜16:00(受付15:00まで)
・開催場所:八丈島町役場駐車場 特設会場
・参加費用:無料
・参加記念品:日産純正PITWORKウィンドウォッシャー液/メカオとメカコのビスコ/ペーパークラフト(お子様向け)
●下回りを錆びさせないには?
最初に紹介した八丈島で使用中の下回りが錆びてしまった車両ですが、これを防ぐ方法はなかったのでしょうか? こちらについては、下回りの洗車が有効であるとお聞きしました。
実際に、島内で使われているとあるやや古めのスポーツカーでも、頻繁にボディはもちろん、下回りも水をかけて洗っている車両は、まったく問題ないものがあるとのこと。
沿岸ではもちろん、降雪地域やそれ以外に住んでる方も、下回りの洗車を心がけてはいかがでしょうか。
見えないところに気を遣うって、本当のお洒落かもしれませんよ。
(小林和久)