■16年という月日は走行性能だけでなく、燃費性能も向上!
2007年10月に「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」をコンセプトとした、マルチパフォーマンススーパーカーとして登場したのが日産GT-Rでした。
日産GT-Rには、2013年11月からワークスブランドであるNISMOのサーキットでの経験、ノウハウをフィードバックし、スーパースポーツカーの限界に挑むことを目指したGT-R NISMOが設定されています。
GT-R NISMOといえば、2023年1月に開催された東京オートサロン2023で、GT-R NISMO 2024年モデルを発表。
その際に、当時COOだったアシュワニ・グプタ氏は、「最先端の技術と匠の技を掛け合わせた、新しいデザインを纏った2024年モデルはR35型GT-Rの集大成ともなるべきモデル」と語り、もう新しいモデルが登場しない可能性が高いということが予想されます。
そこで、今回は最高出力600psという、国産車の中で最高のスペックを誇るGT-R NISMOで約1,200kmのロングドライブを行い、実燃費を調べてみました。
実はGT-R NISMOの高いパフォーマンスは走行性能だけでなく、燃費性能も発揮することがわかりました。
●GT-R NISMO スペシャルエディションの2022年モデルでロングドライブへ!
今回ロングドライブを行ったのは、GT-R NISMOの特別仕様車・スペシャルエディションの2022年モデルで、走行距離2万kmを走行した、ボディカラーがステルスグレーのクルマです。
GT-R NISMO2022年モデルは2021年10月に販売を開始しました。GT-R NISMO2022年モデルは標準モデルに加えて、特別仕様車の「スペシャルエディション」を設定していました。
スペシャルエディションの特徴は、NISMO専用カーボン製エンジンフード(NACAダクト付)をはじめ、レッドリム加飾を施した専用レイズ製アルミ鍛造ホイールを装着しています。
特に注目な点は、搭載しているエンジンにピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどには高精度重要バランスエンジン部品を採用していること。その結果、標準エンジンよりもよりスムーズかつ高い静粛性を実現しています。
このスペシャルエディションに搭載されるエンジンには、手組の証として、エンジンに張られる「匠」のネームプレートも専用の赤文字となっています。
また、GT-R NISMO 2022年モデルは、NISMO専用のボディカラー「NISMO ステレスグレー」を設定しています。このグレーはサーキットの路面色のグレーより青く、青空よりグレーというソリッドカラーです。ボディに青空や路面を映し込ますことで、コントラストが際立つのが特徴です。
GT-R NISMO 2022年モデルの車両本体価格は、2,420万~2,464万円で、特別仕様車のスペシャルエディションは約3ヵ月で予定していた販売台数を超えるほどの人気でした。
今回のロングドライブは、オーナー取材の現場である神戸まで往復の約1,200km。
ルールは法定速度厳守で、高速道路ではクルーズコントロールを積極的に使うこと。そして、4WDはセーブモード。サスペンションはコンフォート。エアコンは24度に設定しています。
GT-R NISMOはカタログ数値を掲載していませんが、標準車はWLTCモードで7.8km/L。エンジンが高出力化していることを考慮して、7km/Lぐらいではないかと考えていました。
しかし、日産本社でのスタート時の航続距離走行可能距離は615kmを表示。GT-R NISMOの燃料タンクは74Lなので、この時点で燃費性能は約8.3km/Lと、カタログ数値を上回っていました。
最高出力600psを発生するスーパースポーツカーが、リッター当たり約8.3km/Lなんて、R32型スカイラインGT-Rに乗っていた筆者にはとても信じられません。
しかし、その疑念もすぐにクリアされました。往路は新東名で通行止めのあった影響で、東名から新東名を経由し、再び東名から名神高速で神戸に向かいました。途中、一宮IC付近で約30分の渋滞にはまりました。
そして往路は、神戸から名神、新名神を経由し、新東名、そして東名を走行。横浜町田IC付近で約30分の渋滞に捕まっています。
まず往路ですが、平日ということもあり、走行するクルマの台数も少なめで、新東名の清水PAから浜松SAまでクルーズコントロールを作動させて走行。
アダプティブクルーズコントロールのように前車に近づいても速度は落ちませんが、こちらが車線変更して追い抜けば良いので、非常にリラックスしてクルージング可能です。こういったスポーツカーでも追従機能は欠かせないなと実感しました。
新東名のフラットな路面だけでなく、東名の荒れた路面でもGT-R NISMOは抜群の安定性を発揮。特に、名神の難所と言われている関ヶ原付近のアップダウンやコーナーの多いシーンでもスムーズに走れました。
また、レカロ製のバケットシートの高いホールド性のおかげでほとんど疲れなく走破。往路の燃費はなんと9.4km/Lを達成しました。一時は9.6km/Lまで伸びましたが、街乗りをするとあっという間に落ちてしまいます。
復路は神戸で高速道路に乗る直前に給油し、東京の自宅まで一気の走行。渋滞による燃費悪化は最小限で、リッター当たり9.5km/Lを達成。巡行速度の高い新東名を避ければ、もしかすると夢のリッター10km/Lも可能だったかもしれません。
国産車最高の走行性能を発揮しながら、高速走行時の燃費性能は9.5km/LというGT-R NISMO。まさにスーパースポーツカーに相応しいパフォーマンスを味わうことができました。
覚悟していたガソリン代も想像以上の燃費性能のおかげで、往復の燃料代は約2万8000円でした。トランスミッションが8速ATなどになれば、その実力はまだまだ色褪せていないと実感しました。
(文・写真:萩原 文博)