日産「GT-R NISMO」は10年間で新車価格が約1.9倍! 運転する楽しさは無限大【NISMOロードカー・中古車vol.4】

■22年モデルのスペシャルエディションの中古車価格は、驚異の全車新車時価格超え!

日産・GT-R NISMOの最新型である2024年モデルは、2023年3月に発表されました。2024年モデルの標準車の日産・GT-Rは、最高出力や最大トルクなどのパフォーマンスを維持しながら、走行時の不要なノイズと振動を低減する、車外騒音規制対応の新構造マフラーを採用しているのが特徴です。

日産・GT-R NISMO 2024年モデルのフロントスタイル
日産・GT-R NISMO 2024年モデルのフロントスタイル

さらに日産・GT-R NISMOは、新デザインのリアウイングを高い位置にセットし、空力性能の磨きこみを行っています。また、フロントメカニカルLSD追加に合わせて4WD制御を最適化し、フロントとリアのトルク配分を緻密に制御することで、コーナリング性能をシリーズ最高に仕上げています。

コーナリング性能の向上に伴い、「専用レカロ製カーボンバックバケットシート」も、シート剛性とホールド性を大幅に向上させています。日産・GT-R NISMO 2024年モデルの新車価格は、2856万600円~2915万円となっています。

日産・GT-R NISMO 2014年モデル
日産・GT-R NISMO 2014年モデル

日産・GT-Rに、革新的な空力性能と精密なハンドリングを兼ね備えた、ワークス直系のスーパースポーツカー、日産・GT-R NISMOが追加されたのは2013年11月で、2014年型の日産・GT-R NISMOの新車時価格は1501万5000円でした。

日産・GT-R NISMOは、標準車のGT-Rに日産のモータースポーツを担っているNISMOの数十年にもおよぶレーシングテクノロジーをフィードバックしたモデル。レーシングカー譲りのハイパフォーマンスを発揮させるために、ファクトリーチューンを施したNISMOモデルのフラッグシップモデルです。

日産・GT-R NISMOのフロントマスク
日産・GT-R NISMOのフロントマスク

日産・GT-R NISMOのシャシーは、フロントおよびリアサスペンションの、スプリングと特注のビルシュタインダンプトロニックダンパーを、極限状態でも路面に吸い付くようなグリップや、正確なステアリング応答性を実現させるために専用チューニングを施しました。

日産・GT-R NISMOのボディは、高負荷時でもサスペンションの精度の高い動作を確保するため、ボディ結合部には通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤による補強も追加し、ボディ剛性を高めています。これはアフターマーケットでは実現できない、NISMOによる「ファクトリーチューン」のなせる技と言えるでしょう。

日産・GT-R NISMOのフロントスタイル
日産・GT-R NISMOのフロントスタイル

外観デザインは、日産・GT-R NISMOの空力性能を高める専用装備として、フロントにカーボン製バンパーとアンダーカバーのエアストレーキを、リアにはカーボン製のスポイラーを採用。NISMOのモータースポーツ活動での経験を生かし、カーボンファイバー素材をバンパー、リアスポイラー、サイドシルカバー、アンダーカバーなどに幅広く採用し、軽量化、低重心化を実現しています。

日産・GT-R NISMOのサイドビュー
日産・GT-R NISMOのサイドビュー

空力性能は、風洞での徹底的な実験や、最新のシミュレーション技術を駆使して開発されました。ダウンフォースは300km/hでプラス100kg、最適化された前後の空力特性は、四輪の接地荷重変動を最小化し、車両の優れたバランスを確保。左右に張り出したフロントバンパーと、後方に延長し絞り込まれた形状のリアバンパーにより、Cd値は「日産・ GT-R」2014年モデルと同じ0.26を達成しています。

日産・GT-R NISMOのリアスタイル
日産・GT-R NISMOのリアスタイル

インテリアは、人間工学的に基づいて造形された、レカロ製NISMO専用カーボンバックバケットシートが乗員を快適にしっかりと支え、ドライビングをサポートしれくれます。また、NISMOレーシングドライバーたちからアドバイスを受けたステアリングホイールは、レッドセンターマークとレッドステッチ付きのアルカンターラ巻3本スポークを採用。グリップ、フィードバック、快適性を最高のバランスで実現しています。

日産・GT-R NISMOのリアビュー
日産・GT-R NISMOのリアビュー

そして、NISMO専用カーボン調コンビメーターを装備。タコメーターはレッドリング付き。メーターリッドにもアルカンターラを採用することで、クルマ全体にレーシーな雰囲気が漂っています。

日産・GT-R NISMOに搭載されている3.8LV6ツインターボエンジン
日産・GT-R NISMOに搭載されている3.8LV6ツインターボエンジン

搭載されているエンジンは、レーシングカーのGT-R NISMO GT3にも使われている高効率大容量の専用タービンを搭載し、気筒毎に最適な点火時期をコントロールする制御の採用に加え、最適な燃料噴射量をコントロールするインジェクター駆動回路を採用した、NISMO専用チューニングの3.8L V6 ツインターボエンジン。様々な変更を加えたことで、最高出力600ps・最大トルク652Nmまで向上しています。

2016年8月、日産・GT-R NISMOの2017年モデルが発表されました。従来モデルから大きく変わったのは外観デザインで、標準車の2017年モデルと同様に、新形状のフロントバンパーが特徴です。

日産・GT-R NISMOのフロントフェンダーに装着された空力パーツ
日産・GT-R NISMOのフロントフェンダーに装着された空力パーツ

NISMO専用のカーボンファイバー製のフロントバンパーは、カーボンファイバーシートを幾層にも重ねて成功に造り上げることで、理想的な強度を実現。カナード形状のデザインがもたらす空気の流れにより、ホイールハウス周辺の空気を吸引し、大きなダウンフォースを発生させています。

新デザインのグリルは、開口部の拡大によってエンジンの冷却性能を向上させながらも、バンパーサイドの形状を最適化することで、従来の空気抵抗およびダウンフォースの維持を可能としました。

日産・GT-R NISMOのインストルメントパネル
日産・GT-R NISMOのインストルメントパネル

インテリアでは、操作性にこだわったナビディスプレイは7インチから8インチへと拡大。併せて、大型のアイコンを採用することで、視認性を向上させています。

また、カーボン製のセンターコンソール上に配置したマルチファンクションスイッチにより、ナビの機能を手元で操作することが可能となりました。さらに、パドルシフトはステアリングホイール固定タイプに変更され、ドライバーが手を離すことなく、シフトチェンジできるように操舵角領域がより広くなっています。

日産・GT-R NISMOのメーターパネル
日産・GT-R NISMOのメーターパネル

NISMO専用装備として、新デザインのダッシュボード上層部、ステアリングホイール、センターアームレストには高品質のアルカンターラレザーを採用、さらに赤のアルカンターラを中央部分に使用した、NISMO専用のレザー仕様レカロ製カーボンバケットシートを採用しています。

2017年モデルの日産・GT-R NISMOは、ボディ剛性の向上により、ショックアブソーバー、スプリング、スタビライザーそれぞれの突き詰めたセットアップが可能となり、接地性がよく、しなやかで正確に動くサスペンションを実現しました。2017年型日産・GT-R NISMOの車両本体価格は、1870万200円となりました。

●2020年モデルから車両本体価格は2000万円オーバーに

日産・GT-R NISMOのセンターパネルのスイッチ
日産・GT-R NISMOのセンターパネルのスイッチ

日産・GT-R NISMO 2020年モデルは2019年4月に発表され、10月より販売されました。2020年モデルの特徴は、車両重心点から遠いルーフ、エンジンフード、フロントフェンダー、バンパー、トランクリッドにカーボン素材を使用し、車両を軽量化することでコーナリング性能に磨きを掛けていることです。

特に、ルーフにはカーボン素材との間に、より低比重の材質を挟み込むサンドウィッチ構造を採用し、さらなる軽量化を図り、これらの外装部品によって約10.5kgの軽量化を達成しました。

日産・GT-R NISMOのパドルシフト
日産・GT-R NISMOのパドルシフト

さらに、カーボン製のフロントフェンダーにはエアダクトを装着。このエアダクトは、エンジンルームからの熱を逃がすだけでなく、エンジンルーム内の内圧を下げ、エアダクトの排出風によってフェンダー外表面の流速を下げることで表面リフトを減少させることにより、フロントタイヤのダウンフォースを増す効果をもたらします。

日産・GT-R NISMOのフロントシート
日産・GT-R NISMOのフロントシート

インテリアでは、新開発のレカロシートを採用。車両とドライバーの一体感を一段と高めるために、ドライバーの肩甲骨から脇腹、骨盤を安定して支えます。さらに、カーボンシェルにコアフレーム構造を追加することで、軽量化をしながら剛性を高めています。

日産・GT-R NISMOのリアシート
日産・GT-R NISMOのリアシート

エンジンでは、2018年のGT3レーシングカーから使用されている新型のターボチャージャーを採用。NISMO用の新たなタービンブレードは、その枚数を減らすと共に、最新の流体・応力解析を用い、形状を徹底的に見直すことで、出力を落とすことなくレスポンスを約20%向上させています。

これによって、コーナーの立ち上がり時など、アクセルを踏み込んだ際の立ち上がり加速が高まっています。エンジンの高出力化に伴い、ブレーキには新開発した世界最大級のサイズを誇る、超高性能カーボンセラミックブレーキを採用しました。

日産・GT-R NISMOのフロントタイヤ
日産・GT-R NISMOのフロントタイヤ

この高性能なブレーキシステムを収めるアルミホイールは、9本スポークが特徴の軽量かつ高剛性な鍛造アルミホイールを採用。さらに、新開発のハイグリップゴムを採用するとともに、走行中の接地面積を最大化したハイグリップタイヤが組み合わされています。2020年型の日産・GT-R NISMOの車両本体価格は、2420万円と大幅に値上がりしています。

2021年4月に日産・GT-R NISMO 2022年モデルが登場。同時に特別仕様車の日産・GT-R NISMO スペシャルエディションも発表されました。車両本体価格は日産・GT-R NISMOが2420万円。日産・GT-R NISMO スペシャルエディションは2464万円となっています。

日産・GT-R NISMOのトランクルーム
日産・GT-R NISMOのトランクルーム

特別仕様車の日産・GT-R NISMO スペシャルエディション2022年モデルは、クリア塗装を施したNISMO専用カーボン製エンジンフード(NACAダクト付)の採用をはじめ、ピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどに高精度重量バランスエンジン部品を採用。手組みの証として、完成したエンジンに貼り付けられる「匠」のネームプレートも専用カラーとなっています。

さらに、20インチの専用レイズ製アルミ鍛造ホイールには、レッドリム加飾を施しているのが特徴です。

●日産・GT-R NISMO2022年モデルは、約3132万~!

日産・GT-R NISMOには数々のカーボンパーツが採用されている
日産・GT-R NISMOには数々のカーボンパーツが採用されている

それでは、日産・GT-R NISMOの中古車事情を見てみましょう。現在、日産・GT-R NISMO/GT-R NISMO スペシャルエディションの中古車は約56台流通していて、価格帯は約1588万~約6280万円と、最低でも新車時価格をキープし、大半を大きく上回っています。

なかでも、2022年モデルから設定された特別仕様車のスペシャルエディションは約13台流通していて、約3132万~約6280万円と、すべて新車時価格を上回っています。

2024年モデルが、もし中古車として流通すると8000万円以上というプライスが付くかもしれません。

(文:萩原 文博/写真:日産自動車、萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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