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■大阪・関西万博でスズキ製のeVTOLが送迎飛行
2025年に開催される大阪・関西万博の大きな目玉となりそうなのが「空飛ぶクルマ」。
「eVTOL」(イーブイトール)と呼ばれ、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の特徴を併せ持つ機体が特徴となっています。
「電動」「自動操縦」「垂直離着陸」機能を持っており、滑走路が必要無いため離着陸場所の自由度が高く、都市部での送迎サービスや、離島・山間部での移動手段、災害時の救急輸送などで活躍が期待されています。
また、ヘリコプターより騒音が小さく部品点数も少ないため、整備費用が安いといったメリットもあります。
飛行高度は150m程度と、ヘリコプターの半分程度で自動操縦も可能になることから、操縦資格についてはヘリコプターほど多くの訓練が必要無いよう検討が進められているそうです。
●スズキがスカイドライブ(SkyDrive)社の機体を製造
そうしたなか、小型車生産を得意とするスズキが2023年6月20日(火)、スカイドライブ社(愛知県豊田市)と「空飛ぶクルマ」の機体生産で基本合意書を締結したと発表しました。
スズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、来春を目処にeVTOLの製造開始を目指すそうです。
同社はスカイドライブ社が設立予定の100%出資子会社の人材確保などについても協力予定。
鈴木社長は「価値ある製品作りを通じて、日常的に空を活用するAir Mobilityの実現に貢献できるよう、意欲的に前進してまいります。楽しみです」とコメントしています。
スカイドライブのeVTOL「SD-05」は3人乗りで、操縦をコンピュータ制御により安定させる方式。
●大阪・関西万博で送迎飛行
日本国際博覧会協会は2023年2月、2025年開催予定の大阪・関西万博で日本初の商用運航を目指す空飛ぶクルマの運航事業者に、スカイドライブのほか、ANAホールディングスとタッグを組んでeVTOL事業に参入する米ジョビー・アビエーションや、独ヴォロコプターと提携している日本航空、英バーチカル エアロスペースと提携している丸紅の4企業を選定。
空飛ぶクルマが来場者の移動手段となる予定で、万博会場となる夢洲(大阪市此花区)と大阪府内の3エリアを結ぶ飛行ルートが想定されています。
大阪府と大阪市は、ユニバーサルスタジオ(USJ)に近い桜島エリアや、海遊館に近い中央突堤エリア、大阪城公園に近い森之宮エリアを発着ポート候補地に選定しており、飛行ルートの住民の理解を得ることが課題になっています。
●トヨタやホンダもeVTOL事業に参入
ちなみに、スカイドライブを創立した福澤知浩社長はトヨタ自動車の出身(~2017)。
2025年のeVTOL販売開始を目指しており、今回トヨタと資本提携関係にあるスズキが機体生産を担うことが決まり、実現への可能性が高まったと言えそうです。
本家のトヨタ自動車は、2020年1月に前述の米ジョビー・アビエーションと提携済みで、同社に約450億円を出資。自動車事業で培った強みをeVTOL開発・生産に生かし、空のモビリティ事業への参入を検討中。
一方、すでに航空機生産を手掛けるホンダは、ガスタービンエンジンとモーターによるハイブリッドシステムを使ったeVTOL開発を進めており、400km程度の都市間飛行を目指すなど、同社もやる気満々のようです。
こうした情勢から、大阪・関西万博を機に自動車メーカーがeVTOL事業に参入する可能性が高まっており、今後の動向が注目されます。
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